不思議の国のありさ

プロローグ




 世の中には人間の想像をはるかに越えた出来事がある。


 それと同時に、人間にはどうにもならないこともある。私みたいなちっぽけな1人の人間には、そんなことが悲しくなるくらいたくさんある。


 もしそんな場合、どう考えるかは人によってそれぞれ違うと思うし、それは個人の自由だと思う。



 でもたいていの人は運命なんて名前をつけて片づけたりたり、しょうがないなんていってあきらめるのだろう。




 私もつい最近まではそうやってされるがままになるしかなかった。いやされるがままになっていた。



 しかし私は不思議の国の住人との出会いによって、その考えを変えようと思うようになる。



 この物語を書く前に1つ書き忘れてたことがある。もしかしたらそれは、この物語の中で一番大切なことかもしれない。




 私の名前は瀬尾ありさ。今年経済学部に入学する新大学生だ。

 もちろん日本人で髪も目も黒い。ついでにいえばつり目であんまり愛嬌がある顔とは言えない。とにかく断じてかの有名なアリスではない。



 しかし私は、現代の日本で時計を持った白ウサギと出会うことになる。




2011.04.05 START




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