囚われの姫編 「そうだ。ニンゲンのお前なら知っているはずだ」 目の前のおじさんが魔王か何かに見えてきたけれど、私は笑顔を取り繕って答えた。 「アリサね。探しておくわ。ところで、そのアリサに何をするつもりなの?」 「君にそんな手間のかかることはさせない。知らないなら、姫の遊び……失敬話し相手になってもらおう」 私は嫌な予感がしたけれど、もう遅かった。 『アリサ!!』 腕に圧迫感のある痛みと同時に、双子の声が背中から聞こえる。それと一緒に小さな足音が聞こえる。 「来ちゃダメ!!」 どうやら聞いていないようで、足音は近づいてくる。 「おやおや可愛らしい子供たちじゃないか。きっと姫も喜ぶ。一緒に来てもらおうか」 私が掴まれている腕から逃れようとすると、当たってほしくない予想通りにそんな声が聞こえた。しかも、よりによって猫なで声! 腕も離れそうにないし、双子はこのおじさんに腕をつかまれなくてもついてきてしまいそうだ。 「私が、『アリサ』よ!!」 私は双子の身を守れる可能性のある言葉を口にした。 prev/next |