不思議の国のありさ

囚われの姫編



 ――ドンドン!


 初めは、聞いているだけでイライラしそうなドアを叩く音だった。双子は少しビクッとして、私はその音の印象通りイライラしていた。


 最初は無視していた。心当たりがないから。私が『アリサ』だからって理由だったからとも思ったけれど、私は何も心当たりがないことに変わりはない。



 だから双子をとりあえず部屋の奥に避難させて、私はドアを叩く相手の様子をうかがった。



 ――ドンドン!


 少し経ってから、またドアを叩く音がした。



 私はそっとドアに近づいて、相手の正体を見極めようとした。

 ……まぁ、私が不思議の国で知ってる人なんてそんなにいないし、こんなに乱暴にドアを叩く人なんて知らないんだけれど。ってか、知り合いたくもない。





 だけれど、ドアに近づいたことを私はすぐに後悔することになる。



 私がそっとドアに近づいたと同時に、ドアがいきなり外側からすごい音を立てて開いたから。

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