不思議の国のありさ

囚われの姫編



 いつもみたいに、お気に入りになったネネちゃんが作ってくれたワンピースを着て、家でお菓子作りを双子としていたところだった。


 確か、ロイドは少し曇っている空を心配していたっけ。私には何も変わらないように感じたけれど。だいたい、空の色ぐらいで驚いてたら、不思議の国になんていられない。


 ロイドは何も言わずに、どこかへ朝から出かけてしまった。



 私はといえば、何も気づかないままのんびり過ごしていたっけ。


 ロイドも私たちを置いていったのだから、何も気づかなかったのだろう。……だからって、自分の不注意を正当化したいわけじゃないけれど。



 ともかく、そんななんでもないような日から、物語は新しくはじまる。

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