不思議の国のありさ

フタゴ編



 それからフタゴは本当にいろいろなことを、私に話してくれた。


 例えば、不思議の国ではどの木の実が一番美味しいとか、1日中それはもうたくさん。番人っぽいのかはわからないけれど、とても長くここに住んでいるようだった。




 私はフタゴの話を半分も聞いてない。そんな余裕あるわけない。フタゴの問題が本当は何なのかずっと考えるだけでいっぱいだ。



 フタゴはずっと同じことを同じように、一緒に言っていた。双子だから、仕草が同じなのは分かるが、どこに私が違和感を感じていた。



 ……だけれどそれが何なのか、まだ私は分からなかった。



『ねぇ、アリサ!さっきから僕らの話し聞いてないでしょ』



 私は考えごとから、目覚めてあわててフタゴに答えた。



「……ちゃんと聞いてたよ」


 慌てて答えたから、あんまりいいようには聞こえなかったらしい。フタゴは言い返してきた。


『嘘だ!じゃあさっき話した一番この国できれいな花は何なのか言ってみてよ』

「それは……。えっと……」

『ほら、聞いてないじゃん』


 すぐに答えられない私に、フタゴはやっぱりというように言った。



「アリサは久しぶりにここに来たから、疲れてるんだよ。少し休ませてあげなくちゃ」


 ロイドが見かねて、助け船を出してくれた。


『そっか、ごめんね!じゃあ二階で休んできなよ。アリサの部屋は空けてちゃんと掃除してあるから。夕ごはんができたら、呼ぶから。ロイド、アリサをつれてってよ』

「ありがとう」


 以前不思議の国に来た時も、私はフタゴの家に部屋を借りていたような言い方だ。


 私はいろいろ気になったけれど、それだけ言うとロイドの後をついていった。




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