不思議の国のありさ

フタゴ編





『アリサ!久しぶり!』


 遠くからでも、とても似てるって分かったけれど……。そんなレベルじゃない。


 背の高さは同じなのはもちろん、こげ茶色の髪、同じくこげ茶色のぱっちりした目、洋服……。


 全く同じだ。どっちがどっちだか分からない。



 どうやって見分けてるんだろう? 



『僕たちのこと覚えてる?僕らフタゴだよ』


 双子は全く同じ動作で、全く同じことを、全く同じように言う。……動作は左右反対だけれど。



 似てるのは見た目だけじゃないようだ。




 ふと気になってロイドの方を見ると、ロイドは少し悲しそうに笑っている。


 ……どうやらこの双子には何か問題があるらしい。早速、私が死にそうになってる原因に会えるなんて、私はとても運がいい。



「……あなたたちの名前って本当にフタゴなの?」


 フタゴは何がおもしろいのか、おかしそうに笑っている。



『アリサ、初めて会った時も最初に同じこと言ったんだよ!』



 ……初めて会った時がいつかは分からないけれど、私はその時からあまり変わってないらしい。



 私はなぜか安心している自分がいるのに気づいた。……理由は分からないけれど。



「二人は二人合わせてフタゴって名前なんだよ」


 ロイドはさっきよりは楽しそうに、だけどまだ悲しそうに笑って言った。




 私はフタゴが抱えている問題がすごく深刻なことだけは、ロイドが何も言わなくても分かった。




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