不思議の国のありさ

フタゴ編





「フタゴは不思議の国の番人なんだ。いつもはじまりの森にいて、見張りをしているんだ」



 ロイドは私を引っ張って走りながら言った。


 子供に見えるのに番人でいいのかとかなんとか言おうとしたけど、ここは不思議の国だ。見た目と中身は違うかもしれない。



 それより私を迎えに来てくれたって?私はそんなに有名なんだろうか?


 そういえば、初めてロイドと会った時も、ロイドはみんな私のことを待っていたと言っていた。



 みんなって誰だろう……。



 不思議の国だから、気まぐれなチェシャ猫とか、何を考えてるか分からない帽子屋とか?



 ……できれば、会いたくない。



 物語を読んでるだけなら楽しいですむけれど、実際会うとなると……。



 しかも私はこれから、その何が起こるか分からない不思議の国で問題を解決しなければいけない。そう考えると、私はさらに憂鬱になった。



「アリサ、早く!」



 ロイドはそんな私の気持ちなんておかまいなしに、私をせかす。



『アリサーー!!』


 双子の二人が大声で私の名前を呼んでいる。いや、叫んでいる。



 やっぱり双子の男の子も私の名前を知っていた。



 私は本当に以前ここに来て、ロイドはもちろんこの双子や、他の不思議の国の住人に会っているのかもしれない。




 ……いつまでたっても何も思い出せないけれど。



 双子との距離はどんどん近づいてくる。この双子はどんな人(?)たちなのだろう。


 見た所、頭にロイドのような動物の耳はないから、普通の人間のようだ。



 不安を抱えながらも、私は双子に会う覚悟を決めた。





2/41

prev/next



- ナノ -