黒い太陽 慟哭色の夜が 静かにはじまりを告げる 触れ合うはずだった手は まだ帰らない 暁が再び 大地を赤く染めあげても そのあたたかさは 熱を知らない この伸ばした手は 何かを つかむはずだったのに 見えないものが ただ何度も 指の間を通るだけ 永遠は瞬間でしかなく 最も形のあるものは 色も影も 定まることを許されない あなたが私に会うことが 偶然でなかったなら 止まっていた時間は ただ消えて 風に流されるだけ あなたが私に会う時が 偶然でしかなかったなら 私は永遠という名の 刹那を生きよう 黒い太陽が目覚めて 世界を一色に 染め上げても 私の世界は もう一色だけ 色があることに かわりはない つかむことも あがくことも 囚われることも 求めることも 叶うことがなくても 私の存在は 意味も理由にも 縛られない 全てを越えた 名前になる その日が最後の1日と 呼ばれるその日まで はじまりは 同じでしかなく 続きに終わりはない 私がうたううたは 一瞬の鎖でつながれた 流されることのない風で 私がかかげる祈りは 地上に縛られた 星屑にすぎない 想像と虚像が 鏡像を従えても 私の見える幻は 最も現実に近い 言葉にならない たった1文字の言葉は 私の伝えたい全てであり 私の伝えられない 全てでもある 交わることも 届くこともない 運命を呪いながらも この叫びは 今この場所でしか 意味を持たないもの 幻想が形になるのが 私の終わりでも それでも私の叫びは 形にならない 後書き |