for friends

雨傘


傘を差し出せなかった
あの日の
雨の傷は
いつか空に還っていくのでしょうか

擦れ違う人にあなたの面影
探す私のまま
今年も別れと出会いの季節が
やってきました

立ち止まっている私には
この桜はあの日と
同じなのです

宝箱の中身は
他人から見ればガラクタでしょう
それでも私にとっては
時間が経てば経つほどに
輝きを増すものなのです

それだけであなたのいた
時間が輝きを増すならば
それだけであなたといた
意味をもつ気がして
それだけであなたといた
事実を忘れたくないのです


傘を受け取れなかった
あの日の
雨の傷は
いつか空に還るのでしょう

そしていつか
私を見守っていてください



後書き



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