北風の詩 世渡り上手なあなたは 全てを簡単に越えてく 私の手に残るのは 何よりも冷えた涙 あなたは全て 置いていけるのね いつかまた 戻ってくると 信じているから 私は今を 置いてはいけないわ 二度と戻らない時と 知っているから 気まぐれであきやすい ロマンチストなあなたは 傷つくことさえも 知らないのでしょう ならば私は その全てを より冷たくするために 今日も南へ吹きましょう その痛みを 痛みのままにするために―― 明るく可愛いあなたに 多くの人は 希望を見出すのでしょう 私には愛した記憶だけがあります あなたは全てを 放ってゆくのね 誰かが救ってくれると 信じているから 私は今も 放ってはゆかないわ 誰よりもあの人が 大切だから 寂しそうなか細い 小さな音が 今日も響いています 気づいたでしょうか 今も私は いつの日か よりあたたかさを あたたかく感じられるように その音を奏でています 誰かを 一人にしないために―― あの人を 一人にしないために―― 後書き |