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 目を閉じると、そこにはあの日と同じ光が眼裏を彩る。


「あちー」
「何でこんなにあついんだろ」


 すれ違う白シャツの人波は、手をぱたぱたさせながら、べたべたと歩いて行く。

 アスファルトの照り返しが、頬を刺す。背中に汗がつたっていく。風はビルの壁に阻まれていた。

 それでも、私は歩いていた。


 今日は久しぶりに休暇をとった。休暇なのにわざわざ暑いところに来ては、人波に呑まれに行く。

 私の、最近の自分の見つけ方。


 エアコンの効いた部屋で暑いとごろごろしていると、それだけで終わってしまう。

 悩んでいれば悩んでいるほど、外に出なければならない、と思う。


 だから、私はこれからも、悩んでいたら外に出ようと思った。


 広い青空が、流れる風が、明るい光が出迎えてくれる現実を今日も忘れないように。






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