49* 仕事から帰ってきて窓を見ると、僕はギョッとした。 紙が窓にたくさん貼ってある。近づいてみると何か字が書いてあるようだ。もしかして……お札とか? 「おかえり!」 急いでドアを開けると、玄関ににこにこしている姉の声がした。何やらとても機嫌が良さそうだ。これは僕の中では悪い兆候だと変換される。 「……窓のあれ、何?」 仕事で疲れていることもあったので、あまり感情を出さないように言った。 「えっ?願い事だけど」 「何で願い事を窓に貼るんだよ!」 とりあえず、お札じゃなくて、家に何もなかったことに安心した。 「だって、今年も七夕天気悪かったじゃない。今日は良い天気だから、七夕しようと思って」 納得しそうになった自分を止める。 「何で願い事を窓に貼るんだよ!」 「その方が良く見えるでしょ」 「織姫と彦星以外にもよく見えるだろっ!」 「何で怒ってるの?ちゃんと家族みんなの願い事も書いたし、『可愛い弟の彼女ができますように』っていう願い事も書いたよ」 「そんなのいらん!」 「今日貼っておいたら叶うかもよ」 僕は1人で心の中で12時になった瞬間に外そうと心の中で決めた。 七夕は良く晴れた日に 願い事は良く見えるように |