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 雑踏に埋もれていく。

 太陽はとっくに沈んでいて、星を真似たような明かりが規則的に並んでいる。何かの懺悔のつもりか、道にはコンクリートの地面には似合わない木が埋められている。


 周りをいくつもの顔も真っ黒な影がすれ違う。夜になっても、どこかへせわしなく足を動かしている。

 それが全て影のように見えて、私は自分がたった一人でこの世界にいるような気がした。空を狭めているビルに押しつぶされそうになる気がした。



 ほら、だから……。


 すれ違う人が、みんなあなたに見える。顔も見えないからこそ、姿もはっきりしないからこそ。気を少しでも緩めてしまえば、全てに声をかけてしまいそうになる。



 私は影がさらにぼやける視界の中、明日への道を必死で歩いた。周りの人々は、当然あなたも、それぞれの明日へ向かっているのだから。



 いつか運命だったら、私が許されれば、私が認められれば、いつかこの先で会えるだろうから。あなたに本当に会いたいなら、歩き続けるしかないのだ。


 そう言い聞かせて、私は足の踏み場を探しながら歩いた。



影に埋もれる
それでも「いつか」へ進む






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