25 少女は朝起きてからすぐに携帯を開いた。 電源を押してドキドキしながら画面が明るくなるのを待っていたが、そこにはいつもと変わらない花畑の待ち受け画面を映し出しただけだった。 いつもの習慣となっているその行動だからか、いつも同じ出来事にしか出会えない。 今日も期待していた自分に少女は驚く反面安心していたが、驚くことはない。少女のSOSは誰も知らない。少女自ら誰にも届かないようにしているのだから。 ある目的のために。 彼女は静かに携帯を閉じた。急がなければ今日の戦いに遅れる。電車という名の戦車は、時間になってしまえば主人公を待たずに出発してしまう。 期待している時間も、落胆している時間もない。 しかし彼女は、この習慣からは離れなかった。それが唯一の彼女と希望を繋ぐものであったからかもしれない。 まだ戦わなくてはいけない時間はある。だが勝つためには時間を少しもムダにはできない。 少女は数分後、制服という名の戦闘服を着て、真っ黒な人ごみにのまれた。 ひとりぼっちの戦争 日常という名の戦い |