24 ※死表現あり 視界の隅に白い光が見えた。少女は避けるようにして振り向きざまに剣を向けた。 「あっ……」 しかしそこにあったものは少女が思っていたものとは異なっていたので、彼女は剣を落として呆然とした。 「もう終わったよ」 そんな少女の側によって、20歳前後の青年は言った。 「また多くの犠牲が出たわ。私が、私の力が足りないからっ……」 泣き崩れる少女など相手もせずに、朝日は昨日の惨劇を何のためらいもせずに照らす。 「しかし、君は生き残った」 「そんなこと何の意味もないわ」 泣いたまま叫ぶ少女の側を離れないまま、少女とは対照的に青年は静かに淡々とつぶやいた。 「何の意味もない?それは何もしないでただ傍観していた者、なおかつこの光景を見ても何も感じない者のみが言うべき言葉だ」 青年の言葉に何かを感じたのか、少女の泣き声は小さくなった。 「君は昨日も逃げなかったし、今失ったものを悲しんでいる。これは何の意味もないことではない」 剣の切っ先を地に着けて、青年は座り込む少女の傍らで膝をついた。 「せめてこうして、祈ることは許される」 青年はそう言って、朝日に顔を向け目を閉じた。 「でも、私には、あの光さえも敵に見えたのよっ!」 少女は顔を上げて、祈る青年の横顔を見ながら叫んだ。 「それでもこの光は、彼らが見たくてしかたなかったのに見ることは叶わなかったものでもある」 青年に何か言おうとした少女は何も言わないまま、両手を胸で組んだ。 黎明の先を見た者だけが、祈りを捧げる資格を得るのです しかしその者は、祈りを捧げる義務も負うのです |