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22*

 
 真っ黒。ただそれだけだったはずの視界が、ほんの少しだけ揺らいだ。


 それは本当にわずかだったけれど、ずっと真っ黒で何も見えない世界にいた彼にとっては大きな変化だった。


 彼は自分の世界を変えていくものの姿へ、ゆっくりと視線を動かした。



 それは白くぼんやりしていた。近づいたら消えてしまいそうな儚いものだった。


 それでいて目が離せなくなるようなものでもあった。



 また、朝が来るのか。



 数えきれないほど当然のように繰り返されてきた「日常」という名の摂理。



 それはほんの小さなものだったはずなのに、永遠に続くはずだった暗闇は、それによって今日もあっけなく終わりを告げる。


 疑っていたものの「存在」もそれと同時に、彼を支配していたのが嘘だったかのようにそれにのまれてしまった。



 昔は眩しくてしかたがなかったそれは今では目に痛いものだったが、それでも輝いていることにかわりはなかった。



 自分が望まない「日常」がまた今日もはじまる。


 そのことに対して自分は悲鳴をあげているのか歓喜に溺れているのか、彼はまだはかりかねていた。




 だんだんとぼんやりとした光が輝きを増していく。



 今まで感じていた絶望さえも、跡形もなく侵食していく。





 それを感じて彼はようやく、ゆっくりと目を閉じた。



彼の夜明け
今日も眠れない誰かへ
Good night and
have a nice dream...






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