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20*

 
「本当にかわいい!!」


 ……彼女が私をさして言う『かわいい』とは、私が知っている「かわいい」とは違うのかもしれない。最初はまさかとは思っていたけれど、最近、本気でそう思う。


 というのも、彼女はふざけて言っているわけでも無理して言っているわけでもないから。本気で心の底から私を見て言ってくれているということに気づいてしまったから。



 今だって、目がなくなるんじゃないかってくらい目を細めて笑っている。



「どこもかわいくなんてないでしょ!」


 まだ笑っている彼女に、私は照れ隠し半分嬉しさ半分で言った。

 私はすぐ顔に感情が出てしまうから、照れているだけだっていうのはすでに彼女にばれているだろう。その証拠に彼女はまだ笑い止む様子が見られない。



 『かわいい』って言ってもらえるのはもちろんとっても嬉しいんだけれど、私がかわいいわけないからそんなに喜んじゃいけない気がする。

 私のことを悪く言う人の間でずっと生きてきたから、どうしても私はそういう風にしか受け止められない。



 私がこんなことを言ったら、また彼女が救ってくれるのは分かっていたからそう思っても何も言わなかった。だいたい、彼女が悪いわけではないのだから。



 荒んだこの世界で、彼女の存在は私にとっては砂漠のオアシスみたいなものだった。


 彼女を傷つけたくない、守りたい。彼女のことを大切にしたい。その思いが私の乾いている日常を潤してくれる。



 そういえば、彼女も最近よく笑うようになったな。……だいたいが私のことを『かわいい』って言いながらだけれど。




 私の存在も、彼女にとって特別なものであれたらなと彼女のなくなりそうな目を見ながら思った。



オアシス的な存在
ある私の大好きな人へ
私の精一杯の感謝と愛をこめて






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