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「もう無理だ!!」


 轟音に埋もれそうにならないように必死に叫んだこの声は、友人には届いただろうか?


「まだだ!!あきらめてんじゃねぇ!!」


 俺がそんな心配をしていると、周囲を支配している轟音に負けないくらいのいつもの友人のどなり声が聞こえた。



 世界の異変を止めるために調査に最果てのこの土地に来ただけだった俺たちだったが、あいにくすぐに帰れるような状況ではなくなった。


 今はこれ以上状況を悪くしないために、この真っ黒いものが地上に噴き出しているのを止めなければならない。


 一通り封印の魔法は使ってみたものの、まったく歯が立たない。残る最後の方法は、半ば力づくで押さえつけるというものだった。



「ここであきらめたら、何のためにここまで……くっっ!!」


 友人の声が途中で途切れる。最も恐れていたことが脳裏をよぎったが、手の焼けるような痛みで俺が現実から離れることはできなかった。



 そう、今は先にこの轟音を止めなくては。友人のことは安全になってからだ。



 俺はのばしていた手に一層強く力をこめた。



泣きたいから前を向いた
流すのは達成の涙






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