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「大丈夫だよ」


 何度目か僕がそう言っても、彼女は心配そうな瞳を僕からそらさない。



 そんな目で見ないでよ。あなたの前では情けないところ見せたくないんだから。


 でもそんなことを言えるわけでもなく、僕はできる限りにこやかな顔を保っているだけ。


 なるべく表面には出さないようにしていたはずなのに、彼女は優しい人だから、僕の悲しみに気づいて自分の事のように悲しんでくれている。


 それなのに、何もできない。


 いつも遠くからまっすぐにあたたかく見守ってくれている彼女は、本当に天使のようで眩しい。彼女が見守ってくれているだけで、僕の悲しみはいつもどこかへいってしまう。



 だから、悲しくなんてないはずなのに。



「大丈夫だから」


 僕の口から出るのは、こんな軽い言葉だけで。


「大丈夫だから……泣かないで」



 彼女は綺麗すぎるから、触れて穢してしまうのが怖くて、彼女の涙をぬぐうことすらできなくて。



無敵に見える彼女はいつも無防備で
だからこそ無敵なのです






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