13 「大丈夫だよ」 何度目か僕がそう言っても、彼女は心配そうな瞳を僕からそらさない。 そんな目で見ないでよ。あなたの前では情けないところ見せたくないんだから。 でもそんなことを言えるわけでもなく、僕はできる限りにこやかな顔を保っているだけ。 なるべく表面には出さないようにしていたはずなのに、彼女は優しい人だから、僕の悲しみに気づいて自分の事のように悲しんでくれている。 それなのに、何もできない。 いつも遠くからまっすぐにあたたかく見守ってくれている彼女は、本当に天使のようで眩しい。彼女が見守ってくれているだけで、僕の悲しみはいつもどこかへいってしまう。 だから、悲しくなんてないはずなのに。 「大丈夫だから」 僕の口から出るのは、こんな軽い言葉だけで。 「大丈夫だから……泣かないで」 彼女は綺麗すぎるから、触れて穢してしまうのが怖くて、彼女の涙をぬぐうことすらできなくて。 無敵に見える彼女はいつも無防備で だからこそ無敵なのです |