文化祭ゲストの漫才師が遅れる! その速報の直後には場繋ぎの依頼。功績もない俺らには荷が重すぎるが貴重な経験。同情のための笑いはいらない。相方はボケ役だが開幕前言い切った。勢い任せの挨拶と自己紹介は予想より早いペースで終わる。 「この学校にはかいだんがあってな、全部知るとあの世に連れてかれるらしい」 「何段か数えるとは暇だな」 「のぼる階段のわけないだろ!」 徐々に同情程度に盛り上げる声しか聞こえなくなった矢先、漫才師が到着した。俺らが舞台からおりれば笑い声は途切れない。 経験してようやく彼らが笑顔の裏で背負っているものの重さを知る。俺らには足りないものだらけだが、目指したい道がより明らかになるだけだった。 |