三十になっても反対されたが、『悩んだときは最も昔の記憶を思い出せ』といわれて家を出た。 それから数ヶ月後、やりたかったことに満ちていたはずなのに思ったほどでもなくて、何をすればいいか迷った夜に記憶を辿った。 最も昔の記憶は川に流されたこと。 親の言いつけを破り、誰も助けてもらえないと思った矢先、父親が助けに来てくれた。何度思い出しても苦い記憶だ。やはり何の役にも立たない。 明日の悩みが襲いかかってきて、誰も助けてもらえないとのまれそうになった。 絶望の先は、目が眩むほどの答え。誰も助けてくれなくていい。もう私はそちら側ではない。自分から何かに縛られなくてもいい。それがわかるまであの家にいてよかったのだ。 |