ドールハウス

パッケージから中身をとりだし、過剰包装をとくと小さい姿がころりと手のひらに転がった。

「うわ、思ってたより小さいな」

 関節がぐらぐらと動かせるのでいじってみるとぽろりととれる。あっ、と声をあげて拾うと抜け落ちたのは足だったようだ。はめなおすとまた元通りになった。

「とれやすいだけか」

今度は外れないようにと優しくふれて腕や足を伸ばすと棚から服を取り出した。ワンポイントに刺繍がされているそれを着せるためにするりとドールの服を脱がす。着替えが終わるとアーサーは黒髪にさらりと触れて、囁いた。

「今日からお前は俺のものだ、菊」と。

足を棚の先から少し出して座らせるとアーサーは菊が今まで身に着けていた衣服や出しっぱなしになっていた裁縫道具をしまってから分厚い本を取り出した。

「今からお前に命をやる。どこへも行かないと約束してくれ。その足で俺を裏切るな」

ドールの素足にキスを落とすとアーサーは呪文を一言囁いた。

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