無欲

 肌が冷たい硝子に触れて、びくりと震えた。身体は上からおさえつけられて自分の意思で身動きすることすら許されない為、せめてもの抵抗に無防備な肩を噛んでやると顔を歪めるのが見えた。

 ざまあみろと思ったのは一瞬で、すぐに後悔することになった。本気で睨み付けられてやばいと思ったときにはもう遅い。乱暴に身体をうつ伏せにされ、壁に手をつかされた。

「やめろ、もうやめてくれ。謝るから、だから」

 ふるふると首を振り、為す術もなく硝子を爪で引っ掻く。

「今更抵抗するの?誘いにのったのは君なのに」

「のってねぇよ、離せ!」

 逃げ出そうと暴れるのを再度おさえつけると、イヴァンはギルベルトを見下ろした。冷たい視線を受けて、ギルベルトの背中に寒気が走る。

「犯されてるっていう免罪符が欲しいなら、そうしてあげる」

「は?違…っ何言って…ああああああっああああぁ!」

 突然、ぐっと腰をつかまれ、圧倒的な質量で貫かれる。散々解されていたとはいえやはり完全に痛みがなくなるというわけではなかった。とろり、と繋がった場所から太ももを伝って溢れた液体が床に滴る。痛みで言葉が声にならずに必死で唇を噛んでいると、切れて血が流れだした。じわりと涙が目に浮かび、零れては頬を濡らす。

 一息置いて、ゆるゆると揺れ動かされて自分の意思とは関係なく喘がされた。苦しくて苦しくて、早く終われと頭の中で念じても無駄だった。ぶつかった時の水音が部屋に響き渡ってしまう羞恥に耳を抑えたくなる。腰を打ち付けられる度に響き、零れては床を汚した。

「全然…っ、気持ち…よくねぇっ…あぅ…!」

 徐々に動きが激しくなり滅茶苦茶に掻き回されているのに、欲しいところにはあまり当たらず焦れったい。

「イヴァ…ン、そこじゃねぇって…もっと」

 奥、と言いそうになってはっとなる。ぶわわと一気に顔が赤くなってしまった。これではまるで自分から咥えたがっているようだ。

「い、いや……違っ…あ、おいどこ触って」

 手が太ももに伸ばされふわふわと優しく触れられて耳には吐息がかかった。

「だってもっと、でしょ?」

 悪戯を思い付いた子供のような表情で笑いながら腰を打ち付ける。突かれながら前側も擦られ、じわじわと快感が押し寄せてくるのに耐えられなかった。

「ひぁっ…あっ…触んな」

 昂ぶりを擦りあげる手をガリガリと爪で引っ掻いてやるとイヴァンの手の甲には傷がついた。

「ふぅん、まだ抵抗するんだぁ。それなら仕方ないね」

 中途半端に高められた状態でぱっと手を離される。放出されずに残った熱がもどかしい。

「くっ・・・あああぁっ・・・っ」

 ずるりと抜かれた感覚に打ち震えるも、一瞬の事。物足りなさに顔をあげて振り返ればそこにはにこりと笑ったイヴァンの顔があった。

「ほらね、欲しいのは君の方だったんだよ」

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