私のまったりタイムは誰にも侵すことは出来ないのです
そうそれが例え、災害であっても、彼氏であっても。そして
私の嫌いなものでも
『大我助けてえええ!』
【電話口で叫んでんじゃねえよ!つーか今の時間お前いつも寝てんじゃねえか。どうしたんだよ】
『でででで出たの!!』
【何が】
『出るって言ったらあれしかないでしょ!』
【ま、まさか……あれか!】
【『ゴキブリ!!/幽霊!!』】
因みに幽霊と叫んだのは私の彼氏火神大我。お化けが怖い彼らしい反応ではあるが、今はそれどころじゃないのだ。
『早く来なさいよおおっ』
【んな泣くほどじゃねえだろ…」
『だからこのぐらいの時期に大我の家来たくなかったのに』
「今日はたまたまだっつの。いつもはキレイなんだよいつもは」
『何で私が居るときにわざわざ汚くするのよおおお』
「いや、今週片付ける暇無くてよ。悪い」
扉から現れた大我が電源を切ってから私を抱き締めて頭をぽんぽんと撫でるけど今はそんな余裕なんてないから脇腹をつねってひっぺがす。
『はやく始末してよ!』
「っ〜〜〜!!」
脇腹は痛かったらしい。さすってあげてもう一度お願いすると、大我は仕方無い。といった様子でおもむろに新聞紙とゴキブリスプレー(殺虫剤)を構える。
カサカサ動くゴキブリを始末しようとそちらに向かった大我を引き留めた。
『私を他の部屋に連れてってよ…っ』
「何でわざわざ俺が……」
『盾が無いと動けない!』
「彼氏様になんつーこと言ってんだお前!」
『大我お願いだから!』
渋々扉の方まで連れてきてくれた大我は早く部屋から出ろと言ったのでお言葉に甘えて出ようとしたときだった。
黒光りする物体が大我と私目掛けて突進する勢いで進んでくる。しかも飛んでいる。
空中戦となると撃ち落とすのは至難の技であり、私は絶望に気を失いかけた。
大我は咄嗟にゴキブリスプレー(殺虫剤)を構えて噴射する。床にポトッと落ちた黒い物体は止まることを知らず、私と大我に向かって尚も進む。
『もういやあああああっ』
「うるせえ!服離せよ動けねえだろ!」
『ゴキブリ殺しくらい彼女背負ってやりなさいよ!』
「言い方が怖え!仕方無えな。よいしょ」
『背負うのよバカじゃないのバカじゃないのゴキブリ近くなったじゃないバカじゃないの!!』
「黙れって!」
言い合いながらも大我は果敢に黒光りする虫と攻防を繰り広げていた。私は大我にお姫様抱っこをされながら涙目でそれを見る。新聞紙で叩き潰すのが早いか、それとも接触後に逃げられるか。俊敏に動き回る物体が大我を高めていく。
「絶対仕留めてやる!」
『そんな気合いは良いから!!ゾーンとか入らなくて良いからはやく!!』
仕留めたのは約三十分後でした。
ご注意ください
やつはいきなり現れます
END