何だか自分の彼氏を見ていると私は餌付けがしたくなって、もう多分末期なんだろうと思った。


ペット感覚


私の彼氏は気が付くと何時もお菓子を食べていて、お菓子を食べることが大好きで、新味を見付けるとすぐに買ってしまうような、そんな子供らしいところがある。

だからか最近は私も新味を見付けるとついつい彼氏のためにという意思もなく買っていたりするから、少し恐ろしいものがある。私の財布の中が知らないうちに減っているのだから、気を付けなければ。

そんな彼氏、紫原敦は今日もお菓子を頬張っている。部活終わりの今、お互いに身支度をして帰ろうという時間帯、彼は部活中もお菓子を頬張るから場を弁えるという事を覚えた方がいいと思う。

そんな彼氏観察をしているとふと思い出し、私は鞄の中をガサゴソ漁る。確かこの中にあったはずだ。


『あ、』
「ん〜?」
『はい敦、あげる』
「何ー?」
『おかし』


手渡せば新味のまいう棒を見て目を輝かせる敦。まいう棒は昨日買ったもので、味はメロンマヨネーズ。聞いただけで何だか胃が痛くなる。


「ありがとまいちん〜」
『どういたしまして』
「じゃあさっそく」


そう言って包装紙を縦に裂いてまいう棒を取り出す。まいう棒は緑と白の入り交じった何とも言えないものだった。大丈夫かな敦。

「ん!うまい!」
『そう?良かったー』
「うん、感動したからまいちんにもお裾分けー」

そう言ってさっき口を付けた所を私に向けた敦。今さら間接キスに羞恥心を抱くような歳でもなく、ありがたく一口頂く。メロンマヨは何とも言えない甘しょっぱい味が絶妙で、素直に美味しいと溢すと敦は珍しくクスクスと笑った。


『何?』
「何でもないー」
『言いなさいよー!』
「んー……」


渋ってから敦が私に手を伸ばす。その手が私の顎を掴んだときに、笑顔は少し意地悪くなる。


「何か、ペットみたいだなって」

その一言に驚きしか返せない私は、されるがままに顎を引かれてそのまま唇を

「…躾けたくなる」
『……どえす』

私の彼氏は私を見ると躾けたくなるような変人で、もう末期なんだろうと思った。


でもさらに末期なのは、こんな彼氏でも大好きなままの私なんだと思う。


END



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -