青峰くんは同級生で、同じクラスで、そして男女別だけど同じバスケ部。そんな縁から結構話すようになり、それなりのいい関係を築き、そして最近付き合い始めた。お互いに自然と好きあってることを知っていたから、告白をされる前からキスもしていた。青峰くんは手が早いから、セクハラもされたことはあったけれど、良い思い出なのかも知れない。
そんな彼との約束が十個ある。
一、一緒に帰ること。
ニ、一ヶ月に三回はデート。
三、記念日は祝う(一ヶ月毎は省く)
四、二人きりなら手を繋いでもいい。
五、ケンカをしたらその日に仲直りする。
六、外出する時は一人にならない。
七、男子と極力関わらないこと。
つまり、青峰くんは外見からも性格からも全く想像がつかないほど束縛男だった。別にそれで嫌いになるわけじゃないし、酷い訳じゃないからまだ守っているけど、まず極力関わらないってどうすれば良いのか。そして月三回はデートってほぼ週一じゃないのか。
突っ込みどころが多いけどまあ仕方がないのでまた休日に青峰くんの家に遊びに来た。毎週遊んでたら資金が尽きてしまうので、月一で外出することにしている。お財布に優しいお付き合いだ。たまにお菓子やらご飯やらを作ってあげると言葉にはしないがちゃんと喜ぶところが可愛かったりする。内緒だけど。
『こんちゃー』
「おー」
基本鍵を掛けない不用心な彼氏様のお家に上がり込み、そのままご飯を食べていないだろう青峰くんのために皿とご飯と箸を用意してあげて、コップに冷蔵庫内にあったお茶を注いだ。
「サンキュ」
『スポーツマンなんだから、ご飯くらいちゃんと準備してよー』
「バーカ、いつもは寮の飯食いに行ってるっつの」
『私の手料理が大好きなんですね』
「調子乗んな」
そんな冷たい風に言っておきながらご飯を出すと嬉しそうな顔するんだから何だかほだされて何も言えなくなる。お子さまな彼氏を持つと自分がとても大人のように思えて仕方ない。同学年なんですけどね、一応。
『お味の程は?』
「うめぇ」
『それは良かった』
自分の分も持ってきてあったから、目の前にあるご飯にいただきます、と挨拶をして手を付ける。家でも味見をしたけど、申し分ない味だ。まあ、上達したのは青峰くんと付き合いだしてからだけど。
「もう一緒に住みてぇな」
『そんなにご飯美味しかった?』
「まあそれも」
『毎日作るのは辛いなー』
「それだけじゃねえって」
『ふーん』
「何だよ」
『それってもしかして、好きすぎてずっとくっていてたいってこと?』
「…バカじゃねーの」
照れたら目を逸らしちゃうところも、色が黒くてわからないけど結構赤くなりやすいところも、なんだか放っておけなくて。しかも私が救いようもなく大好きだなんて、大切にしない訳がない。
『いつか毎日作ってあげるからそれまでこれで我慢ね』
「すぐに毎日作らせてやるよ」
『人使い荒い』
「まいは俺に尽くしてりゃ良いんだよ」
『本当に…』
「あ?なんだよ」
『私のこと大好きだね』
「んなの、当たり前だろ」
普段照れるのにたまにストレートに言ってくるのはなんなんだ。恥ずかしくてもう顔が見られないよ!
大好きなんですよね?
痛い程伝わってくるよ。
END