ずっと隣にいた。影の薄い彼を見つけたときから私は彼を探すことを楽しんでた。子供だから、かくれんぼみたいで楽しかったとか、そんな理由じゃなくて、きっと仲良くなりたかった。誰よりも何よりも近づきたかった。

そうして頑張って追いかけて、猛アピールをしていたらきっと気づいてくれると信じていた。自分から告白しても良かったけど、でも何よりフラれて一緒に居れなくなることが怖かったから、彼が告白してくるぐらい好かれてから付き合いたかった。
そうして猛アタックの末、六年とちょっとを費やしてやっと。

「あの、もしかしてまいさんは、僕のことが好きなんですか?」

やっとって言葉がこれほど似合う人ってなかなかないと思う。しかも猛アタックしたのにまだそこまでしか知らないあたり憎たらしいというか、でも鈍いのも好きだから嫌になる。

『黒子くん』
「はい」
『いつぐらいからそう思った?』
「中学三年の終わりぐらいからですね」

私の五年間返してください。切実に。

「で、どうなんですか?」
『……』
「まいさん…?」
『べ、別に好きじゃないよ』

六年間の努力を返せ私。何でこんな大事なときに本音が言えないのヘタレ。

『じゃあ、またね』
「…まいさん、ちょっと待ってください
『まだ何か?』
「嘘吐いてますよね?」

何故バレたの。駄目だフラれてしまう黒子くんにフラれたらどうすれば良いんだろう泣き落としでもしてやろうか。

「今頭の中で不吉なこと考えてますね」
『え、』
「混乱したらすぐそうやってぐるぐる考えますから、貴女は」
『それだけ知ってるのに、私に言わせるの?』
「まあ、多分貴女の方が先なので」
『…何が?』

うわ、露骨に嫌そうな顔された。でもわかんないものはわかんないし、黒子くんって結構言葉足らずだなあ。理不尽とも言う。

「やっぱり僕から言わせる気ですか」
『え、何を?』
「しらばっくれてる…?」
『ちょっと待って、本気でわからないから聞いてるんだよ?ちゃんと答えてよ』
「僕を好きなんでしょう?だから、はやく言ってください」
『無理に言わせたいの?意地悪』
「僕も好きだけどきっと貴女の方が先に好きになっただろうから告白を先にさせてあげようとしたんですはやく言ってください」

真剣にこっちを見てる黒子くんの言っている意味がわかりません。告白ってするよりされる方が嬉しいよね?告白にレディファーストも何も無いんだよ、わかってますか?ああでも何でだろうな、前から良くわからなかったりしてたけどやっぱり好きなのは全く変わらなくて、変なの。

『黒子くんのばか、大好き』
「ばかは余計です。もう一回」
『黒子くんの大好き』
「…意地悪なのは貴女ですよね」
『好き。返事は?』
「もちろん、愛してますよ」


ああもうどうして一言でこんなに幸せになれるのか誰か教えて。


アンハッピーブレイク

END



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