あいつはキラキラと輝いていて


『大我!』


その声は魔法だ


発展途上の恋


屈託なく笑う顔を隣で見るのが好きだ。
その笑顔の理由がくだらないことでもなんでも。
あいつを笑わせるもの全て、すげえと思えるようになってきた。

例えば、登校中に居る猫とか。
例えば、野郎の馬鹿みたいな話。
例えば、下校中寄り道して入った店のチョコパフェ。


『っおいし〜!』
「良かったな」

チョコパフェ一つで幸せそうな顔になる安上がりさが好きだ。それでさらに人にも幸せのお裾分けをし出すから厄介だ。

『ほら、大我、あーん』
「俺甘いもんはあんま…」
『知ってるよ。でもここのは多分好きだから食べてみなって!』
「んぐっ」

こいつは何も気にしない。
間接キスだとか名前呼びだとか、バグだってやりたいからとか言って飛び付いて来たり。
そういう気楽なところが苦手だ。
今だってスプーンを無理やり口に突っ込んで、俺がうまいと言うのを待ってやがる。しかもうまいし。
だいいち、俺の好み把握してくれてるって知っただけで俺がどんだけ喜んでんのか、こいつは知らねぇし。

『どう?』
「…うめぇ」
『でしょ!』

耐えきれず尋ねて、期待する言葉をやると笑って、こいつは本当に安上がりだ。

だけどそうじゃないのかも、と考えると、俺の心拍数は急上昇する。


『どうしたの?大我』
「何でもねえよ。ほら、溶けんぞ」
『大我が食べさして』
「……おら」
『んー』

口の中にスプーンが入っていく。俺がこんなことすんの、恥ずかしいって思ってることをこいつは知ってるのか知らねえけど、満足そうに緩んだ顔でありがとうと言っている。

例えば、俺だけに食べさせて、とか言ってたり。
例えば、俺にだけ間接キスしてたり。
例えば、俺に抱き着くのが好きだとか。
例えば、俺の言葉で喜ぶとか。

そうだったとしたら。

『たいが』
「んだよ」
『じろじろ見すぎ』
「お前しか居ねえんだから当たり前だろ」
『……』
「?どうした、まい」
『な、んでも』


例えば、俺が名前を呼んだだけで真っ赤になったり。
例えば、俺のせいで一喜一憂してたとしたら。

「まい」
『……名前、ずるい』
「可愛いところもあんじゃねぇか」
『どういうことよ、ばか!』
「素直に可愛いってとこだけ受け取れよ」
『ばかばかばか』

真っ赤な顔で怒られたって怖くねえし。
真っ赤な顔を作ったのが俺だと思うと気分がいい。


互いに互いの気持ちをコロコロと変化させる。
俺たちの言葉はすげぇ。


END



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