俺の好きなやつは相当な恋愛体質だ。

それはもう重症で、目が合っただけで好きになったやつも居る。

ついでに見境が無い。


『ああ、もうカッコいい!』
「今度は誰だよ……」
『あのラグビー部の主将!』
「あんなゴリラが良いのか?」
『だって、今日電車に乗ってたら、あの人おばあちゃんに席譲ってたんだよ!素敵すぎるっ』
「……」


なんつーか呆れすぎて言葉が出ねえ。何で俺はわざわざこんなやつに付き合ってやってんのか。
そんなこと思いながらも、やっぱり側に居たいのは変わらない。何でこいつが良いんだろう。自分でもよくわからねえ。


『ねえねえ火神、話聞いてた?』
「聞いてなかった」
『つまらなかった?ごめんねー』

こうやって冷たくあしらっても全く動じないところとか、そんな反応されてむしろ笑っていられる、そんな遠慮の要らないところは楽だ。でもそれだけ、要因になりはしない。

『火神は今日もバスケだよね!また見に行っていい?』
「ああ」
『ダンク決めてね!あれ大好きだから』

趣味っつーか、好みも結構合う方だけど、決定的ではない。

全くわからない。望みのない相手な上に、付き合ってもすぐに捨てられるかも知れない相手を好きになるなんて可笑しいのかも知れない。それだけ条件が悪い上に、周りでは尻軽とか良く言われてるし(まあ聞くたび睨んでやったりするけど)、あんまり得はないのに


『火神のスポーツしてる姿はね、カッコイーよ。私好きだな』
「……」

簡単に適当に褒められただけで嬉しくなる。心臓がはやくなる。身体が沸騰して、思わず抱き締めたくなる。


『火神ー、はやくー』
「……くそ」

何でこんな俺の弱点はどうしようもないくらい可愛いんだ、ちくしょう。


重度の好き

END



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