おはようで一番最初に目に入って、おやすみで一番最後に見れる幸せを実感する。

それはこの世で一番の幸福。



『…んん』

窓から射し込んだ光が丁度目元に辺り目を覚ます。いつもなら遮断してくれるカーテンが役目を果たしていなくて、そういえば大輝がいきなり押し掛けてきてばたばたしたから閉めるの忘れたんだったと不用心なことしたなとも思ったけど、でも今日は一人じゃないから大丈夫だという結論に到ったところであくびをした。

滲んだ視界に写りっぱなしになっている褐色の肌に、寝惚けて呂律の回らない口でおはようの挨拶をする。意外にもイビキをかかないその人は未だ眠りに落ちている。この時間が私は大好きだ。ラブラブな人たちは構ってもらえないとかで起こしてしまったり、自分のことで忙しかったりするんだろうけど、私に今日仕事がない限り全く急ぐ必要は無いので、起きるまで顔を眺める。これが習慣になっていたりする。

まず、寝顔を眺めてかっこいいなあとか、案外顔立ちがキレイだったり、眉間に皺がないなぁとか、お肌つやつやで子供みたいだとか、どうでも良いことを再確認する。

その後に目の下を見て血色が良くなかったら寝れてないのか血行が良くないのかとか考えて、指先で少し撫でる。他にも髪が傷んでたらちゃんとリンスとかコンディショナーとかしてないんだろうなぁって思うし、唇を見てかさつきがあったら食事のバランスが悪いのかなって、色々考えを巡らせるので退屈になることはほとんどない。

ちょこちょこ触っていると自然に目を覚ます大輝。あ?とか意味もなく声を上げた後、寝惚けた目で私を見る。また寝顔見てたのかよ趣味悪いな、の前におはようを言ってくれるから大輝は意外に律儀。


「お前、俺よりいつも早く起きるよな」
『たまたまだけどね』
「そーかよ」
『たまには私より早く起きなよ』
「あー…?眠い」
『楽しいのになあ』
「何がだよ」
『内緒かなー』

絶対真似するから、と付け足せばそんな良いことしてんのかよ、と興味を引かれたらしい大輝がすりよってくる。多分教えたら私が寝てるときにキスしたりずっと髪触ってたりするだろうから絶対教えない。こういう良いことを教えたら大輝は私より必ず早く起きちゃうから。

『朝何作ろうか…』
「何でもいい」
『またそうやって適当に…』

苦笑しながら身体を起こす。大輝の何でもいいは、その短い言葉の中にちゃんと美味しいからが入っているから素直に受け取ることにしよう。トースト焼いて軽い炒めもの作って…と考えているとお腹に手が伸びてくる。

『なに?』
「腹へった」
『じゃあ離してよ。作れない』
「……」
『ほんとどうしたの』
「もう少し寝ようぜ」

お腹に回っていた手に力がこもり、そのままベッドに逆戻り。大輝の上に思いっきり乗ってしまっても大輝は何も言わずに私の身体をまさぐりだす。

『こら』
「お前の身体気持ち良いよな」
『太っててすみませんね』
「ちげえよ。何か…安心する」
『…あっそ』


じゃあおやすみ、と身体を反転させて大輝から下りながら言って鼻の頭にキスをする。この時のふにゃっとした笑顔が一番好きだったりするのも、今のところ内緒。


幸せのsecret

END

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aza様のみご自由にどうぞ^^

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