私の今いる世界での唯一の知り合い青峰くんとは、ちょっと仲良くなれそうにありません。

反覆


まあ何故かと言うと、勘が無駄に良いというか。

「お前今日変だぞ?」

と昨日面と向かって言われてしまったからで、それからちょっと話し掛けれなくなってしまったので、私の一方的な感情なのですが。
でも、万が一にも私が桃井さつきでないとバレてしまったら、どうなってしまうのか。已然にバレることがあるのかが疑問。だって、どこからどう見ても私は桃井さつき本人であるし、性格が急変したとしか認識されないんじゃないのか。いやでも認識されてしまったらどうなるんだろう。殴られたり悪者扱いされたりするのかな。でもこの体もしかしたら桃井さつきのかも知れないし。そういえば私のこといつきって呼んでたな。じゃあもしかすると、私の態度をいちいち桃井さつきに似せようとしてたからおかしいって言われたのかも。

「いつき」
『え?』
「またアホ面してるぞ」
『…アホ面じゃないもん』
「へいへい…んで、今日も部活行くのかよ」
『そりゃ…だって私マネージャーだもん』
「……」
『ね、大ちゃんも行こうよ』
「帰りまでに気が向いたらな」
ふんっと偉そうに言い切った青峰くんはどうも好感が持てない。どうしても、私はこういうようなタイプが苦手なのだ。桃井さつきは別らしいけど、感情は私になってしまったからまだ距離がはっきり掴めないし、困ったものだ。

それでもやっぱり頼れるものは青峰くんしか居ない。この世界で知っている人は青峰くんぐらいしか居ないし、これから知らなきゃいけないこともある。一般常識くらいのバスケット知識はあるけど、マネージャーでしかも敏腕だった桃井さつきの穴を埋めるには、それなりの知識量が必要だし、まとめなければならない時だってあるだろう。
知らない場所で、しなければいけないことをして、そんな不安定な中に唯一はっきりした存在が居たらすがらないわけない。身近って意味では今吉さんとか桜井くんとかも居るんだけど、やっぱり幼馴染みなだけあって接触する回数も多いし、身近だと感じれる安心感もある。
嫌っているのに勝手だと言われても仕方のない私の感情は、それでも正直だった。


『行く気になったんだ?』
「まあな」
『ちゃんと続けて来れば、レギュラー入りも別に疎まれないのに』
「うっせぇ、今日はたまたま暇だったんだよ」

耳に指を突っ込みながら、青峰くんは嫌そうな顔をした。自分のレギュラー入りを認めない部員がうざったいのだろうという反応だ。もしくは私の言葉がうるさかったのか。
とりあえず体育館へ向かう廊下を歩いてはみるものの、マネージャーとは何をするものなのか私は全く知らない。昨日はボールや器具の確認で一日を終わらせたけど、今日はどうしようか。

「…また考え事かよ」
『んー?』
「最近お前難しい顔し過ぎだバカ」
『いたっ』

デコピンを一発お見舞いされた頭を押さえて青峰くんを見ると青峰くんの方が悩んだような顔をしていた。多分この顔は私のせいなんだろう。誤魔化し程度にしかならない笑顔で大丈夫だよと言ってみると、青峰くんは何がだよ、と誤魔化した。

部活では青峰くんの様子を見ていようと思った。

END

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