テスト期間が無事終了した。青峰くんもなんだかんだ言っておきながら赤点はなかったらしい。しかしやっぱり提出物も陸に出さない授業は出席しないおまけに普段の素行は悪いとトリプルパンチの青峰くん。テストの結果を成績に反映させても平生点で一学期の通知表は赤点だらけだ。やたらこういうところは現実的かつシビアだなあと感心していると、青峰くんには夏休みでもないのに特別なプリントが十数枚渡された。先生曰くこれを出せば赤点だけは見逃してやろう、だそうだ。太っ腹と言って褒め称えたいところだが、青峰くんへの対処としては全く駄目なことを私は知ってる。

「面倒くせぇ」
『人の家まで来てだらけないでよ!』
「わかんねぇし」
『……』

正直テストで赤点免れたなら書ける部分は三割以上あるはずだ。つまり三割も書けない理由はやる気がないから。机に向かいながら落書きをし始めた青峰くんを放置してバスケの勉強のため本を読んでいた私は、さすがに呆れた。プリント十数枚、提出期限は明日。一週間設けられていた猶予は全て青峰くんの昼寝に消化されてしまった。

『進学出来なくても知らないよ?』
「なるようになるんだよ、んなことは」
『まあね……付けがいつか回ってくるけどね』
「……」

振り返った青峰くんにじいっと見つめられる。多分手伝え的な視線なんだろうそれを無視することにした。私も休日くらいは学業から離れたい。桃井ちゃんが休日どんな風に過ごしていたのかわからないから大胆に動き回ることも出来ないけど、気になった本くらい熟読させて欲しいのだ。まあ結局バスケの勉強のための読書だが、これも趣味になりつつあるから良しとしよう。

「なあいつき」
『……』
「お前俺が一年のままで良いのかよ」
『良いよ。むしろ面白いかもね』
「あ?なんつった今」
『一年生のままなら私のこと先輩って付けなきゃダメなんだね。あと桜井くんにも気軽にお弁当もらえなくなるし。絶対に今吉先輩たちには…って、一年後には居ないんだった……』
「あー、そうだったな」

仕方無くといった感じで、青峰くんはシャーペンをくるくる回してプリントに向き合う。どうやらこの煽りは吉と出たようだ。

『やる気が出ましたか青峰くん』
「うぜえ喋り方すんな」
『まあまあ、せっかく教えてあげようとしてるんだから』
「じゃあこれ」
『考えてもないのは教えません』

私の言葉を切っ掛けに青峰くんは真剣に問題を解き始める。机に向かう青峰くん、なんだか新鮮だなあ、とついつい見てしまう。本人は気にせずでたらめな公式を書き始め、行き詰まり、頭をくしゃりとかいた。次にこっちを見て私に助けを求めるかな?

「なあ、これってよ」
『代入する場所が逆。ここはこっち』
「……」
『ん?』
「いつきって…」
『……?』
「やっぱ何でもねえ」

手を慌てて動かした青峰くんが不自然で、じいと見つめるとほんのり顔が赤いような気がして、私は釣られて体温を高めた。

熱気のせい

にするには、ちょっとお互い無理がある。

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