「いやーマジで助かった。お前居てくれて良かったわ」
『いえ、私も誰も居なくて心細かったので……』


ひょんな事から出会った人は青峰大輝というらしく、話してみるととても気さくな人だった。約九年間まともに男の人と喋ったことが無かっただけに緊張もしたけど、青峰くんはなんだかマイペースな人で、だから私も構えなくて良いのかな、と自然と力は抜けていた。何だか不思議な人だ。


「木下はどこの中学校だったんだ?」
『あ、えっと…女学校で』
「ああ、ぽいな」

青峰くんはうんうんと頷いて同意した。そんなに男子に免疫がないことバレバレだったのかな、と思ったけれど、そうでも無かったらしい。

『青峰くんはどこなんですか…?』
「俺?帝光中」
『バスケ部が強い所、でしたっけ…』
「お、良く知ってんな」
『青峰くんは部活動何してましたか?』
「あー…バスケ」

一瞬言いにくそうにした青峰くんは、質問に素直に答えてくれた。素直な答えが私に驚きを作っていき、目が丸くなっていくけれど、声には出なかった。

『す、すごい…すごいですね』
「木下って驚き方地味なんだな」
『あ、はい、良く言われます』
「静かなやつは好きだぜ」


ニカッと目を細めて白い歯を見せ、青峰くんは元気に笑って見せる。綺麗な笑顔だな、と感じて、それに気付いてとても恥ずかしくなった。
そうだった。青峰くんは男の子、なんだ。


「お、ここ体育館か。じゃあな木下」
『、はい』
「また後でなー」

後ろ手でヒラヒラ手を振る姿が様になっている。後ろ姿を暫く見てから、式の為整列している中に入る。

何だか青峰くんと話している間が不思議な時間に思えた。その分、校長先生や式の進行をする人の声が、現実へと私を引き戻していく様な、変な感覚に襲われた。



式が終わって教室に戻り、自身の席へ向かう。青峰くんは、何処のクラスなんだろう。何となくぼんやりとそんなことを考えてながら椅子に手をかけ、


「よう、木下」
『…え』


思い浮かべていた声が私の名前を呼ぶ。声のする方は私の席の右隣。

「隣同士だったんだな」
『青峰くん…?』
「おう、よろしくな!」

ニカッと眩しい笑顔を見せた青峰くんに、一瞬くらっとした。


眩しい貴方


太陽みたいに私を焦がすの。

END


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -