桃山コハル の 真実

昔は地味、生真面目、口下手という言葉が似合いすぎるほど大人しい少女だったコハル。
それでもコハルは自分なりに平穏な生活を送っていた。

まだ高校生だった頃、いつものように登校すると教室には数人のクラスメイトが集まっていた。
疑問に思いながらも席に着くコハルだったが、まだ人の少ない教室では嫌でも会話が耳に入ってくる。

ーー来たよ、地味子。
ーーあいつは何位?
ーー論外っしょ。
ーーあんなの好きになるヤツいんの?


クラスメイト達が何をしていたのかは分からない。
だが、自分が貶されていることだけは分かった。

それからというもの、コハルはクラスメイト達が発する言葉に敏感になってしまう。
今までは聞こえていなかった、聞こうとしていなかっただけで、クラスメイト達はいつもコハルのことを貶していた。
貶される度に傷付き、時には泣き出してしまうこともあった。
しかし、それはいつしか怒りに変わり、コハルは"絶対に見返してやる"と心に決める。

高校を卒業してから、専門学校へ入学するまでの春休み。
コハルはずっと貯めていたお金で整形をした。
鏡を見れば、可愛らしく微笑む自分の姿。

これが桃山コハル

その言葉を口に出した瞬間、コハルは今までの自分と決別したのだった。




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