相浦タマキ の 真実

昔はスポーツ、特にサッカーが大好きなサッカー少年だったタマキ。
将来プロを期待されるほどの腕前の持ち主で、推薦で有名なスポーツ高に進学したタマキは当然のようにサッカー部に入部する。

異例のスピードでスタメン入りを果たし、タマキは晴れてエースとなった。
だが、顧問は自分の力でエースにしたわけではないタマキが気に食わなかった。
暫くすると、顧問は個人指導と称して体罰を与えるようになる。
更に不幸なことに、タマキは先輩選手達に才能を妬まれていた。
追い討ちのように虐め紛いのことをされる毎日。
同学年の選手達やクラスの男子達に助けを求めようとしても、顧問や先輩選手達が怖いのか見て見ぬ振りをされてしまう。
タマキの神経は少しずつすり減っていった。

そんな中、マネージャーやクラスの女子数名など"女性"だけはタマキのことを気にかけてくれた。
しかし、自分と関わると彼女達にまで被害が及びかねない。
タマキはあえて突き放すという選択肢を取り、一人でいることを選んだ。

一人になっても、体罰や虐めは続く。
荒んでしまったタマキの心は、次第に自分に危害を加える人物=男性なのではないかと疑念を抱き始める。
やがてその疑念は確信に変わり、"男性"という性別の人間を見境なく信用出来なくなった。

こんな状態で部活を続けられるわけもなく、タマキはサッカー部を辞めた。
それと同時に、サッカーをすることすらやめてしまった。
自分の生き甲斐とも呼べるものを失くしたタマキの心に残ったものは、たった一つ。

ーー男なんて、ロクな生き物じゃねぇ。

憎しみにも似た、空虚な感情だけだった。




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