キミのおこした奇跡side S


≫Clap ≫Top

高校生活スタート


決別宣告


「それで?どうしてこういうことになったのか説明してくれるわよね、新一?」


目の前で仁王立ちして笑顔をひきつらせている蘭。
どうしてかなんて、んなこと


「俺が聞きてぇよ…」


そもそもあおいの態度に違和感覚えたのが高校入学前。
うまく言えないけど、なんか距離って言うか今までにはなかった壁のようなものを感じていた。
でもそれが具体的にどんな違和感なのかはわからなかった。
その違和感を決定的だと感じたのは4日前の朝。
伸ばした手を初めて拒絶された時だった。


「なんでもないなんでもない!私もちょっと眠いだけ。遅刻しちゃうから行こう!」


そう言って笑うあおいは俺の目を見ようともしなかった。
…なんだ今の?
俺拒否られた?
いやでもたまたま機嫌が悪かっただけかもしれねぇし。
知らず知らずにブツブツ呟いていたらしい俺に蘭が怖いからとツッコミいれてきた。
失礼なヤツ。
その日1日あおいを見ててもフツー。
いつも通り笑ってクラスメイトと話していた。
朝はたまたま機嫌が悪かったかもしれない。
そう思った。
でも…。


「今日は1人で帰る」


それは俺の希望的観測に過ぎなかった。


「もう一緒に帰らなくていいよ」


何を言われてるのか、すぐには理解できなかった。


「中学の時と違って道もわかるから1人で帰れるし、友達と一緒に帰りたい時もあるし」


目の前が真っ白?いや、真っ黒?
自分でもわからない。


「じゃあまた明日ね。バイバイ工藤くん」


俺を真正面から捉えたあおいの瞳は冷たく、今まで見たことのない表情で俺を拒絶していた。
俺は去っていくあおいの姿をただ呆然と立ち尽くすして見送るしかなかった。


「…………は?え、なんだぁ?」


やっと出た声はこんな間抜けな言葉で、パニックになっている自分を落ち着かせるのに必死だった。
俺なんかしたか?
その言葉と共に今までのあおいの行動を思い返す。
今朝のこと、昨日のこと、一昨日のこと、それからもっと前のことも。
自慢じゃないが記憶力はかなりいい。
あおいの行動を遡って考える。
中学卒業まではこんな感じじゃなかった。
やっぱり原因があるとするなら春休み。
春休み…って俺なんかしたか?
だって俺、ずっとトルコ行ってたし?
あ、長期間トルコ行ったのを怒ってるとかか?


「いや、そんなわけねぇよな…」


日本に残るって言ったのはあおいだし。
第一帰国後すぐに土産持って行った時、は…。
いや、待てよ?
あの時から様子がおかしくなかったか?
…何だ?何が原因だ?
考えろ。
絶対理由はあるハズだ。
何か原因が…


「だあああー!もうわっかんねぇ!!!」


自分の部屋のベットにダイブする。
沈む体と一緒に心まで沈んでしまいそうだった。
くそっ、明日絶対理由聞いてやる。


ピンポーン


いつもはマンション前にあおいがいて。
合流して学校に行く。
それが中学の時からの日課。
なのにこの日に限っていねーし!
部屋まで行っても誰も出ねーしっ!!
あんニャロォ…。
そんな感情を抑えられないまま学校に向かう。


「おはよー…って、あれ?新一1人?」
「あ〜…。今日はちょっと、な。なぁ蘭」
「なぁに?」
「今日日直って誰だっけ?」
「ええ?日直?え〜〜〜っと…昨日が園子たちだったから、その後ろ?だから〜…宮田くんと林さん?じゃない?」
「だよな」
「?それがどうかした?」
「いいや」


そう、あおいは日直で朝から何かしなければならないわけじゃない。
部活にも委員会にも入ってねぇから朝練があるわけでも朝から集まりがあるわけでもない。
今日期日の提出物もねぇし。
てことはあおいが早く行った考えられる理由は1つ。
俺を避けるため。
これはマジでなんとかしねぇとヤバイかも。


「あおい」
「あ、園子!この間言ってたヤツだけど」
「おいあおい」
「現国の課題出していない人は早く出してくださーい」
「なぁ…」
「蘭、部活頑張ってね!」
「…」


シャレになんねぇくらい、キレイに避けられること早4日。
最初は俺の出方を見守っていた蘭も堪忍袋の緒が切れたらしい。


「それで?どうしてこういうことになったのか説明してくれるわよね、新一?」
「…俺が聞きてぇよ」
「俺が聞きたいって…。あのねぇ、新一。あおいが理由もなくいきなりこんな態度になるわけないでしょ?」
「だよなぁ…」
「絶対新一がなんかしたんだって!あおいに何したのよ?」
「何って…」
「何って?」
「………………なぁ蘭」
「何?」
「………何したんだと思う?俺…」
「……はぁぁ」


目の前蘭がため息をつく。
むしろ俺がため息つきたいくらいだ。
自分自身の行動、あおいの行動。
もう何度も振り返り考えていることにもう1度思考を巡らせた。

.

prev next


bkm

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -