キミのおこした奇跡side S


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変えたい日常


キミからの評価


「はい、これ!」
「…なんだコレ?」
「なんだじゃないでしょ!今日は新一の誕生日じゃない!」


俺の誕生日?
ああ、今日はそう言えば5月4日か…。


「さんきゅ」
「で?」
「あん?」
「あおいからなんかもらえた?」


一昨日蘭にカミングアウトしてから蘭は俺に対して普通にそういう話題を出すようになった。
…つーかあの後、「は?もしかして新一今まで自分で気づいてなかったの?」って言われてさんざ弄られたんだけど。


「もらえたも何も俺昨日からアイツと連絡取ってねーけど」


GWはなんでもやりたいことがあるんだとかで日課になってるメシも別々に取ることにしたし。


「ええ!?ダメだよ、ダメダメ!ちゃんとお祝いしてもらいなよ!」
「…別に祝ってもらわなくても」
「てゆうかあおいもしかして誕生日知らないのかな?今ちょっと電話してみる!」
「あ、おい蘭!」


言うが早いか、あっという間にケータイを取り出してかけたようだった。
…そりゃあまぁ、祝われて嬉しくねーはずねぇけど。
いやでもそんな無理に祝ってもらおうとかって思ってるわけじゃ


「ダメだ、あおい繋がんない」
「え?」
「電源入ってないって」


…別に今の一瞬で期待したわけじゃねーけど。
まぁ世の中こんなもんだ。
翌日も普通の休日って感じで過ぎて。
連休明け初日の学校。


「工藤くんおはよー!」
「おー」


断言できるけど、コイツ俺の誕生日知らねぇな…。
あ、そういや俺もあおいの誕生日知らねぇや…。
まぁ、今下手に話題に出して祝わせようとしてるって思われても困るし。
そもそも今さらだし、触れないことにした。


「工藤くん、工藤くん」
「あー?」
「お誕生日おめでとうございました」
「え?」


俺からは触れずにいたら、昼休みあおいがいきなり俺のところに来て頭を下げながらお祝いの言葉を言った。


「俺誕生日4日なんだけど」
「うん、今聞いた」
「は?今?」
「だって工藤くん言ってくれなかったじゃん!」


2日遅れでもやっぱちょっと、嬉しい、とか。
そういう感情が沸いて来てるような気がするから不思議だ。


「オメー普段面倒見てやってんだから、プレゼントの1つや2つねーのかよ!」
「工藤くん」
「なんだよ?」
「それはカツアゲです」
「バカ言ってんじゃねーよっ!!」
「いひゃいいひゃいいひゃい」


ぶっちゃけ、好きって自覚してから俺あおいにどう接してたっけ?とか思ったけど。
コイツと話してたら相変わらずフツーにこうやって手が出ちまうからほんと不思議だ。


「工藤くん、工藤くん」
「あん?」
「手出して!」
「…なんで?」
「いいから!」
「…ほら」
「うーん、と…、はい!プレゼントッ!!」
「なんだコレ?」
「北海道限定ハイチュウ!美味しいんだよ!」
「…つーかさ、」
「なにー?」
「オメー未開封の1本持ってんのに、わざわざ封切って1個だけ渡すってどーいうことだよ」
「まさか狙ってるの!?それ以上あげないよ!?」
「いらねーよっ!」


誕生日プレゼントがハイチュウ1個ってどーなんだよ…。
でもさっきまでプレゼントすらない感じだったからいいのか?
いやでもハイチュウって…。
しかも未開封1本じゃなくて封切って取り出した1個…。
あれか。
これが今のコイツの俺に対する評価か。


「わかった、来年は何かもう少し捻りのあるプレゼント考えるから」
「別に捻らなくていーからフツーによこせ」
「わかった。来年ね」
「5月4日だからな」
「ハイハイ」


…上等じゃねぇか。
俺は根っからの負けず嫌いなんでね。
来年はハイチュウ1本と言わず1箱に昇格してやろーじゃねーか。
きっと蘭から言わせてみたらバカなことを、って言われることなんだろうと思う。
でもこの日俺は、オカシナところでヤル気スイッチが入った。

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bkm

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