キミのおこした奇跡side S


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変えたい日常


はっきりと、自覚


"すべての不可能を消去して、最後に残ったものがいかに奇妙なことであっても、それが真実となる"
 シャーロック・ホームズ−4つの署名より


仮に、だ。
仮に俺が本当にあおいを好きだと仮定しよう。
でもキスしてなんとも思われてねーって、どーすりゃいいんだよ…。


「それで園子ってばね蘭にね、」
「アイツらしーな」


工藤くんカッコいー、とか?
俺自分で言うのもなんだけど、結構人気ある部類だと思うんだけど。
バレンタインなんてサッカー部で1番もらってたんだけどっ!
まさか男として意識してもらってねぇってことで悩む日が来るなんて思いもしなかったっ!!


「あ、芳賀さん明日の委員会さ、」
「うん、なに?原くん」


コ、コイツの存在忘れてたーっ!!


−俺マジで狙っていい?芳賀さん−


そうだった!
このバカ女が良いとか言う物好き俺以外にもいたんだったっ!!
俺あのときなんて答えたんだっけ?
なんかあやふやなまま終わったら、気がついたらコイツちゃっかりあおいと同じ委員会になってたんだよな…。
どーすりゃいいんだよっ!
やっぱ手出すなとか?
今さらすぎねぇか?
それにそんなこと言ったら「何おまえやっぱり好きなの?」とかなるだろ?
いやそれはちょっと、なぁ?


「じゃあ明日の昼にね」
「うん!ありがと!…てゆうか原くん背高いねー、何センチ?」
「俺?俺は168だよ」
「20センチも違うっ!高いわけだ!」
「…芳賀さんて背高い男と低い男どっちが好き?」
「え?どっち…っていうか、」
「うん?」
「174センチくらいの人が好き!」


俺あと15センチも足んねーんだけどっ!
だいたいなんでそんなに具体的な数字なんだよ!
なんかあんのか174センチ!!
まさかクロバが174センチ!?
…いや、アイツも背高くはあったけど、せいぜい165ってところだろ?
なんだ?まだ誰かいんのか174の男が!


「新一何さっきからぶつぶつ言ってるの?」
「へ!?」
「…なんか今日、朝からおかしいよ?」
「おかしいって蘭オメー…」
「…この間の練習試合の後、あおいと何かあったの?」


はい、キスしました。
なんていっくら幼馴染のコイツでも言えるわけがねーっ!!


「べ、別になんもねーけど?」
「…そう?ならいいんだけど…」


怪しんでる!
蘭のこの顔ぜってぇ俺を怪しんでるっ!
ヤバイ、マズイ!
いや、何がやばくて何がマズイのかわかんねーけど!
だーー!!
もうどーすりゃいーんだよっ!!
だいたい俺ほんとにアイツが好きなわけ?
いくらなんでもあり得ねぇだろ!
だって俺いつか誰か好きになるなら蘭なんだろーなって思ってたのに!
それをなんだってアイツなんだよ!
絶対何かの間違いだ!
そうに違いないっ!!


「えー、じゃあ芳賀さんて、」
「うん、そうだよ」
「マジでー!」
「えー?おかしいかなぁ?」
「変!絶対変!でもおもしろくていーよ、それ!」
「ありがと!」


…でもなんだろうな。
絶対に何かの間違いだと思う。
いや、間違いだと思いたい。
でも、その間違いが起こっちまったら?
ホームズも言ってんじゃねーか。


"すべての不可能を消去して、最後に残ったものがいかに奇妙なことであっても、それが真実となる"


ってな。
全てのあり得ねぇを消していったとして、たとえ一番あり得ねぇことであったとしても、最後に残ったもの、それが真実。


「あおい」
「なにー?」
「帰るぞ」
「え、部活」
「サッカー部は今日休みなんだよ!買い物つきあえ!」
「おい工藤お前なに勝手なこと」
「悪ぃけど、」
「あん?」
「そーいうことだから」
「…」


原が目見開いてこっちを見てるのがわかったけど、そのままあおいの手を引いて歩き出した。
すっげー釈然としねぇ。
でも仕方ねぇ、それが真実なんだから。


「工藤くん、工藤くん」
「なんだよ!?」
「私部活…」
「休め休め!どーせしばらく試合ねーんだろ?」
「いやそうだけどさ…。だいたい何買いに行くの?」
「……………ら、」
「うん?」
「蘭にちょっと、」
「え?蘭?」
「だからオメーが選べ!」
「…いいけど…」


可能性がなんだ、不可能がなんだと言っていたとしても。
結局はただ単に俺の目の前であおいが他の男と楽しそーにしてるのが気にいらねぇだけ!
きっとそれが、真実。

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bkm

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