キミのおこした奇跡side S


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水平線上の陰謀


疑惑の残る解決


高木刑事が取ったスカーフの下にははっきりと指の痕が残っていた。


「日下さん、別室で詳しい話を聞かせてもらいましょうか?」
「ま、待ってくださいよ。嫌だな、僕にはまだこういう、…切り札が残ってるんだぜ!!」


その言葉と同時に日下がポケットから何かを取り出した。
…あれは!?


「動くな!!動くと爆弾を爆発させる!!」
「きゃーー!!」


一瞬で会場内がパニックに陥った。


「船を沈ませたくなきゃ言うことを聞け!!」
「…その人よっ!!私を襲ったのその人!!」
「へっ!やっと思い出したのか?」
「とにかく落ち着きなさい!何故キミがこんなことを!?」
「親父の復讐さ!!」
「復讐?」
「15年前、八代商船の貨物事故で死んだ乗組員は俺の親父だったんだっ!!」


そうか、あの時の写真の人物が…!


「2年前、俺は墓参りに来た親父の元同僚からあの事故についておかしな噂があることを聞いたんだ」
「え?」
「当時、八代商船の社長と専務だった園太郎と貴江は保険金目的で貨物船を沈めることを計画した。さらに、日ごろ乗組員の待遇改善を訴える沖田船長の排斥を狙って副船長だった海道を抱きこんだんだ!」


ステージ上のクルーが一気に船長に視線を向けた。


「話に乗ったあんたは睡眠薬入りのコーヒーで沖田船長を眠らせ、わざと氷山に船を衝突させ、同時に前もって仕掛けておいた爆弾を爆発させたんだ!…爆弾を仕掛ける場所は恐らく、設計士の八代英人が指示したんだろう」
「八代会長はどうやって殺害したんだ?」
「アイツ、俺に跨って首を絞めやがったから、巴投げの要領で海に投げ飛ばしてやったよ。そしてお前がやったようにこの船を爆破し、混乱に乗じてお前を殺すつもりだったんだ」
「ふん!飛んだ妄想だ」
「待ちなさい!とにかくそのリモコンのボタンから指を離しなさい!!」
「うるさいっ!近づくなっ!!」


その瞬間、後ろに回りこんでいた男が日下に襲い掛かった。
が、


ドン ドン ドーンッ!!!


ヤツを取り押さえられなかったどころか、日下はスイッチを押し船を爆破した。
一瞬の暗闇をついて日下が会場から逃走する。
…逃がすかっ!!
日下を追いかけると脱出ハッチからモーターボートで逃げ出すところだった。


「くそっ!!」


急いで近くのモーターボートに飛び乗りエンジンをかける。
その時、


「待ってっ!!コナンくんっ!!」
「待ってください!!」
「おい、お前らっ!」


俺を追いかけてきた歩美たちが階段を駆け下りてきた。


「私たちも行くっ!」
「コナンくんだけいいカッコさせられませんよ!」


しかも灰原まで…。


「ま、そういうことね」


口角を持ち上げ笑う灰原。
…仕方ねぇ。


「振り落とされんなよ!!」


そう言って、エンジン全開でアフロディーテ号から飛び出した。
日下が俺たちに気づいたらしく、その荒い運転は俺たちを撒こうとしているようだった。
…悪ぃな、こっちは中2の頃から親父に操作法の訓練されてんだよっ!!
ガキだと思って舐めんじゃねーっ!!


「左へ寄れっ!!」


思い切りハンドルを切り日下との差を詰める。
元太たちのお陰でボートがスピードに負け飛ぶことなく上手く差を縮めることができた。


「今度は右だっ!!」


日下のクルーザーの左側から回り込み、前に出る。


「追い抜いちゃいましたっ!!」
「灰原!操縦頼むっ!!」


灰原と場所を変わり、ボートの後ろ、日下のボートの正面にくるような位置に立つ。
終わりにしようぜ、犯人さんよっ!!
ベルトから出したボールをキック力増強シューズで蹴り出す。
ボールは一直線に日下を目指し飛んでいくが、日下が紙一重でそれを避けた。
…それくらい予想の範疇だっ!!


「あぁっ!?」


俺たちが乗っていたボートから日下のボートに飛び移った。
日下が俺に気づいた瞬間、麻酔銃を撃ち気絶させる。
…終わったな。


「コナンくーん!」
「やったか!?コナーン!」


その声に親指を立てて答えると、


「「「やったー!!少年探偵団、大勝利ーー!!」」」


元太たちが手を挙げ喜んだ。


「おーい!キミたちーー!!」


その時遠くから高木刑事の声が聞こえた。
振り返ると目暮警部、白鳥刑事を乗せたモーターボートが近づいてきた。


「ダメじゃないかキミたちっ!相手は殺人事件の容疑者なんだぞ!?もしものことがあったらどうするんだ!!」


犯人捕まえて開口一発目が説教だとは思わなかった…。


「「「「ごめんなさーい」」」」


でもまぁ、最もな意見では、あるよな。
その時遠くでアフロディーテ号が爆発する音が響いた。


「め、目暮警部…」
「一体いくつ爆弾を仕掛けたんだ…」


日下が仕掛けた…?
ほんとにそうなのか?
まだ、何かが足りないような。
何かしっくりこないような、そんな気分だった。

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