■殺人未遂と本当の事件
「やーっぱり手ごわいのが残ったわね」
「え?あおいさんはそんなに隠れるの上手いんですか?」
「上手い、って言うか、…ねぇ、園子?」
「あおいは小さすぎてどこにでも潜りこめるし溶け込むから普通にショッピングしてるだけでもあっという間に姿を消すのよ!」
それ迷子になってるだけなんじゃねぇのか?
って言う俺のツッコミに園子が気づくはずもなく。
「まだ後12分あるわ。探しましょ」
あと12分でねぇ…。
最後の悪あがきに園子と灰原がもう1度探しに行く。
が、
「秒読み行きます!5、4、」
「3!」
「「2!」」
「「「1!ゼローーー!!」」」
「かくれんぼ、俺たちの勝ちー!!」
「やったー!!」
先に戻ってきた灰原が大きなため息を吐いた。
「あおいお姉さん!やったやった!」
「私たちの勝ちだね!」
にこやかに戻ってきたあおい。
「あおいどこに隠れてたの?」
「秘密!…でもコナンくんがずっとサッカーボール蹴ってたの知ってるよ」
「え?」
じゃあ、さっきの「ナイッシュー」って声はやっぱり…。
「助けてっ!!誰か助けてっ!!」
灰原が持っていた探偵団バッチから、園子の叫び声がした。
「どうしたの!?園子姉ちゃん!!」
自分のバッチを取りだし、園子に聞く。
「はや…け、て!!!」
「お、落ち着いて園子っ!今どこ!?」
「ど…の、箱の中っ!誰かに…たっ!!」
「ちょっと園子聞こえないよっ!!もう1度言って!!」
「い、…よ!!早く助…っ!!!」
俺のバッチを取り園子と話すあおい。
だがその声は途切れ途切れでどこなのかわからない。
こなったら、とメガネの発信機を作動させるが、レーダーがすぐ切れた。
…ヤバイ、電池切れか!?
「あっ!」
昨日の夜、日下さんにぶつかって落ちたあの時か!
「寒いの、園子!?冷たい!?」
「園子落ち着いて!」
依然園子と通信しているあおいと蘭。
…凍えている…あっ!
「冷凍庫だ!!」
そう思い至り走り出す。
早く助けださなければ…!
そして船内の厨房に入っていく。
「ねぇ!冷凍庫どこ!?」
「冷凍庫?」
「お、お願いします!友達が大変なんですっ!!」
「ち、地下2階だけど、」
そのままそのコックの案内の元冷凍庫へと行く。
「おい、いっぱいあるじゃん!」
「手分けして探そう!…園子姉ちゃーん!!」
鮮魚室、野菜室等手分けして探すものの園子の返事はない。
「園子!園子!」
どの冷凍庫にも園子は見当たらなかった。
…くっそー、どこだ?どこにいる?
「なぁ、もしかしてもう死んじゃってるんじゃ…」
「何縁起でもないこと言ってるんですか!」
「だってよー!他に冷たくなるようなとこないだろ!?」
…死んでる?
あっ!!
「あそこだっ!!」
駆けつけたのは霊安室。
チーフパーサーの岬さんに頼んで開けてもらう。
「ん?重いぞ?」
「え?………園子っ!!」
「早く、診療室に運ぼう!!」
発見された園子は凍傷もなく無事だった。
最もしばらくは体を温め安静が必要だが。
「ありがとうございます」
「良かったね、園子!」
そう言って笑い合うあおい、蘭、園子。
…それにしても、
「誰がこんな悪戯を?」
「悪戯?これは悪戯なんかじゃない!歴とした殺人未遂だ!すぐ警察を呼んでください」
「わ、わかりました!」
そう、これは故意に園子を霊安室に入れた殺人未遂。
何故、園子が…。
「一応話しを聞かせてくれ。襲われた場所は?」
「マリーナよ。あおいを探しに行って、いきなり棒かなんかで肩をぶたれて、そのまま気を失っちゃったみたい…」
「じゃあ犯人の顔は?」
「うーん…、見たような気もするけど、覚えてないの」
「時間は?」
「あ!それは覚えてる。10時11分だった!」
10時11分…。
とりあえず、園子をあおいたちに任せ、オッチャンと2人問題のマリーナへと行った。
「なるほど、ここから霊安室ならすぐだ」
「でもどうして園子姉ちゃん襲われたんだろう?」
ん?
通路に落ちているものを拾いオッチャンに見せる。
「これは…!八代会長の鉄扇だ!なんでこんなところに?」
1度会長に話を聞こうと、会長の部屋に向かうものの、
「留守か…」
チャイムに誰も反応しなかった。
「毛利さん!キャプテンが警察に連絡するのは、ん?…あのぉ、ここは八代会長のお部屋ですが?」
「あぁ、さっき麗姉妹から…そう言えばこの部屋から誰か出てきたな」
「え?誰か、って…」
「顔は見えなかったが、ウィンドブレーカーを着てフードを被ってたからな」
「時間は?」
「確か…10時15分くらいだ」
「本当ですか?毛利さん。…変ですね、お2人ともウィンドブレーカーはお召しになりませんし、この時間お部屋には貴江社長しかいらっしゃらないはずです」
「……ねぇ!ウィンドブレーカーのフードを廊下で被るなんて、まるで顔を隠してるみたいじゃない?」
「まさか社長の身になにか!?」
「社長!!辻本です!!社長!!」
「おい!マスターキー持ってるな!?」
「し、しかし…」
「社長!…開いてるわ!失礼します!!」
そして俺たちが入った部屋の中には、変わり果てた貴江社長の姿があった。
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bkm