キミのおこした奇跡side S


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紺碧の棺


DOS DIOSAS


美馬さんが連れてきてくれた部屋は、美馬さんの自室。
さまざまな資料やこの島の地図が置かれたこの部屋は、彼がトレジャーハンターであった証を表していた。


「おじさん、トレジャーハンターだったんですか?」
「あぁ。若い頃はな。アンとメアリの宝を探すためにこの島に来た。そしていついちまった、っていうことだ。島の女に惚れて結婚し、漁師を始めた。…300年前のものだ」


いつの間にか俺たちの後をついてきた光彦たちも加わり、美馬さんはテーブルの上に1枚の古い地図を置き俺たちに見せてくれた。
その地図の隅には、俺たちがやっていた宝探しゲームの数字と似た文字…。
俺の分の宝の地図を机の上に出した。


「そういうことだ」
「この地図が本になってるんだ」
「観光課長の岩永がこれと同じ古地図を本に作ったんだ。まだ誰も解いたことのない暗号だからな」
「300年前に考えられたんだ。それも、アン・ボニーによって」
「あぁ…」
「そ、それじゃもしかして、これを解けば本当のお宝が!?」
「そうなるな」
「「「わぁあ!」」」
「…300年前ということは、所や番地じゃなさそうね」
「1番ポピュラーなところでアルファベットか」


そう言うと光彦たちが数字の裏にアルファベットを書き始める。
そして出てきた10個のアルファベット。


「後は組み合わせだろう」
「名前かなぁ?赤が名字で、青が名前とか」
「いい線だな」
「…やっぱり海賊に関係した名前かしら?」
「あぁ。たぶんな」
「見てみて!こうすると名前みたいになるよ!」


そう言って歩美ちゃんが並べ替えた文字。
JOLLY…。
この名前、どこかで…。
あぁ、そうか…!
その後パズルのように、元太、光彦が文字を並べ替えていく。


「JOLLY GRORE?」
「いや…。ROGER…。JOLLY ROGER」
「ジョリー・ロジャー?」
「誰だそれ?」
「有名な海賊ですか?」
「直訳すると愉快なロジャー、ね」
「…ジョリー・ロジャーというのは1700年頃の船乗りたちが、最も目にしたくなかったものだよ。その名の由来は赤い旗を意味するジョリー・ルージュとか、悪魔を意味するオールド・ロジャーとか言われている」
「旗?」
「悪魔?」
「「「あ!!」」」
「あぁ。ジョリー・ロジャーというのは、そこに書いてある海賊旗のことさ!」
「すごい、コナンくん!!」


そうして美馬さんを見ると、美馬さんも満足そうな顔をしていた。


「解けたな」
「うん!」


美馬さんは1枚の写真を見せてくれた。
これは…。


「300年ほど前、この島の沖合いを通ったスペインの船に乗っていた船員が描いたものだ。その後この島は海に沈んでしまった。メタンなんとかというガスが原因だと言われている」


−頼親島も以前はもっと大きく、海上に突き出していたそうですが、300年ほど前の地震で海に沈み、今の形になってしまったようです−


「頼親島…。その島にお宝が!?」
「あぁ。恐らくな。…だが、まだ何かあるはずだ。何かもっと、場所を特定するヒントがあるはず…ん!?」
「どうしたコナン?」
「何かありましたか?」
「…その古地図に書き込んであるジョリーロジャー、」
「え!?」
「その骸骨の歯。なんか文字に見えないか!?」
「……ほんとだ!アルファベットに見えますね!」
「「うん!」」
「上の歯がDOS…、下の歯がDIOSAS…どういう意味でしょう?」
「DOS DIOSAS(ドス・ディオサス)スペイン語で2人の女神、って意味よ」


そこまでか…。


「後は島に行ってみねぇと…」
「でもハンターたちは海の中を探してたんじゃなかった?」
「じゃあ海の中に隠してあるのか?」
「いや…。だとしたらどこか海の中を示すヒントがあるはずだ。…海神ポセイドンは男の神様だしな…」
「恐らく奴ら他の入り口を探していたんだろう」
「え?」
「2人の女神の入り口は昔の地震で崩れてしまって、大人が通るのは無理になってしまったからな」
「…奴ら入り口を見つけたんだ。だから刑事たちが捜査に来ているというのに危険を冒してあのカットラスとピストルを盗み出した…」


ガタン!


その時玄関から物音が聞こえ部屋から飛び出して見ると、喜美子さんが倒れこむように入ってきた。


「どうした!?」
「も、毛利さんは…」
「ここにはいない!役場のはずだが」
「…蘭ちゃんとあおいちゃんが攫われた」


何!?


「ボートで…」
「誰に!?誰に攫われたの!?」
「ま、松本…、トレジャー、ハンターの…」


なんだと!?


「向かったんだ、頼親島に!…お前ら!急いで役場に行ってオッチャンに知らせてきてくれ!」
「わかった!!」
「……気をつけなさいよ」
「あぁ」


先に駆け出した元太たちに続いて、灰原も駆け出した。


「オジサン、船を出してくれる?僕を島まで乗せて行ってほしいんだ」
「何?」
「宝のためじゃない。あおい姉ちゃんたちを助けたいんだ」
「…」
「新一、っと!…コナンくん。あおいくんたちが攫われたそうじゃな」
「あぁ…」
「どうせ止めても助けに行くつもりなんじゃろ?」
「…」
「ちょっと待ってなさい。渡すものがある」
「先に行って船の準備をしておく」
「わかった」


待ってろよ、あおい、蘭…。


「これを持っていきなさい。小型のエアボンベじゃ。ここを引いて咥えれば10分間空気が吸える。…残念ながら2本しかないからこれは最後の手段じゃ」
「ありがとう、博士」
「…気をつけるんじゃぞ」
「あぁ…」


そして先に船を用意してくれた美馬さんと合流し、あおいたちがいるであろう、頼親島へと向かった。

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bkm

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