キミのおこした奇跡side S


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世紀末の魔術師


おみくじが示すもの


和葉案内の元、美術館から近い、難波布袋神社にきた。
正直占い、おみくじの類は好んでする方じゃない。
てゆうか1人で来たらまずしない。
だからおみくじってーよりも、まぁ…、今夜のVSキッドの願掛けってところだな。


パンパン


それは隣にいた服部も同じようで。
一緒に神頼み。
いや、俺は神頼みなんかしねぇけど。
実力で捕まえてやる。


「あ!私大吉!」


俺たちより先に参拝を終わらせたあおいたちがおみくじをひいた。


「お前もやったらどうや?当たるんやでぇ!」


別におみくじなんざ信じちゃいねぇが、まぁこれも旅の思い出と、俺も引いてみた。


「あおいはなんて書いてあったの?」
「あ、うん。ええ、っと…、恋愛、複数の異性との仲が深まる予感、だって」


以前NYでシャロン・ヴィンヤードに言われた言葉。
神様なんていない。
俺もその通りだと思う。
神様なんて信じてねぇし、まして神社のおみくじなんて、って思う。
思うんだが、複数の異性って何だソレ!
冗談じゃねー!!
って、思う俺がいるのも事実。


「複数の異性?その1人ってもしかしてぇ」
「そ、園子は!?園子はどうなの!?」
「わ、私は見せるほどのもんでも、」
「ちょっとくらいいーじゃん!どれどれ…園子コレ…」
「なになに?なんて書いてあったん?」
「目移り注意 本命から倦厭されます、って…」
「べ、べっつに今本命いないんだからいーじゃない!蘭は!?」
「私は…、素直に打ち明けることで 得難い絆が生まれます、って」


…蘭は、吹っ切れたのか…?
「俺」に対してのメールも電話も、至って普通だし。
さすがにもう、この場にいない幼馴染の名探偵気取りなバカな男を、思っちゃいねぇ、よな。


「さて、と。問題は午前3時までどうやって過ごすか、や」


午前3時…、オッチャンが解いた暗号の犯行時刻。
だが本当に午前3時なのか?


「和葉!お前その3人案内したれや!」
「え?平次は?」
「俺は、このちっこいの案内するから!」
「どうしてー?一緒に行こうよ!」
「男は男同士がええんやて!なぁ?コ、コ、…コナン、くん?」
「うーん!…早く慣れろよな。美術館の時といい、不自然だろーが!」
「なんや偉そうやな。バラしてもえぇねんで?」
「ど、努力してください…!」
「うん、せやせや!人に物を頼む時はな、笑顔忘れたらあきませんで!」


よっく言うぜ!
この色黒がっ!!


「あ、じ、じゃあ私とはここでお別れだね?」
「あ…あおい姉ちゃんこの後すぐ帰るの?」
「うん…。コナンくん気をつけてね」
「あおい姉ちゃんも、運転気をつけてね」
「…ありがと!」


そう言って手を振るあおいたちに背を向け、服部と2人神社を後にした。


「お前、12番目の文字が引っかかってんのやろ?」


神社から離れてしばらくしてから服部が話しかけてきた。


「あぁ…。『L』がロシア語のアルファベットでって言うんなら分かるんだが…」
「ロシア語のアルファベット?」
「カーだ。英語のK」
「Kやったら、時計の形にはならへんな」
「それに、予告状の最後の『世紀末の魔術師』ってのも気になる…」
「ホンマ、気障なやっちゃ」
「今まで奴はそんな風に名乗った事がない…。それに、何よりも今まで宝石しか狙わなかったキッドが、なぜエッグを狙うんだ?」


考えれば考えるほど、疑問は次々と出てくる。
「暗号を解いた」と断言できるほどの確信がなく、まだまだ、欠けているピースが多すぎる。
そんな気分だ。


「それよりお前、さっき引いたおみくじどないやってん?」
「んなモン、まだ見てねーよ!」
「何でや? キッドとの対決を占う大事なおみくじやろ!?」
「…ったく…」


俺は神様もおみくじも信じちゃいねぇんだよ…!


「へぇ…小吉かぁ!中途半端なモン引きよったのぉ!これやったらキッドとの勝負、勝てるんか負けるんか分からへんやないか!」
「…待ち人は来ます、か。あ!旅行、秘密が明るみにでます やめましょう…」


お、おいおい、まさか…。
そう思い浮かぶのはさっき手を振って俺を見送ったあおいの姿。
…ははっ、まさかな。


「ここのおみくじ、よぅ当たるからなぁ…」
「嘘!?」
「ホンマ!」


またコイツ、この状況楽しんでやがる…!!
…明るみに出て困る秘密。
それはやっぱり新一=コナンてこと。
沖縄の夜。
新一を待つあおいの気持ちを知った。
でも、コナンである俺も認めてほしい。
気づいてほしい。
気づかないでくれ。
それはずっと心の中で起こっている葛藤。
くしゃり、と、おみくじをポケットに入れ、大阪の街を歩いた。

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