キミのおこした奇跡side S


≫Clap ≫Top

甲子園の奇跡


球児たちの決勝戦


「あっつー…」


服部の圧勝に終わった東西探偵対決(ただし大食いの)
無事テレビ収録も終わり竹富さんたちと別れ、一路大阪へ。
って言っても、翌日甲子園に行くため早々に解散しホテルで休むことになった。
…けど、


「ヨーコちゃんはどんな女子高生だったのかなぁ!」


今年の決勝は大金高校VS港南高校。
その港南出身の沖野ヨーコに思いを馳せたオッチャンが絡んできてほとんど寝れなかった…。
そんな中、やってきた甲子園。
暑いは人が多いはで熱気をモロに受け、ほんっとガキの体は不便だ。
せめてあと10センチ背が高かったらこんな人ごみの中で埋もれて窒息間近になることもなかったのに。
なんて、また身長ネタで悩む日が来るとは思わなかったぜ…。


「あおいちゃんは甲子園に来たことあるん?」
「う、ううん、ない。それどころか、」
「うん?」
「ついこの間コナンくんに言われるまで甲子園て大阪だと思ってたから…」


そういやコイツあの後少しは地理について勉強したのか?
…してねぇだろうなぁ。


「和葉ちゃんにお願いがあるんだけどね、」
「なになに?」
「帰る前に神戸半熟ケーキが買いたいんです」


俺が言ったのはそういう勉強のことじゃねぇだろ!
って全力でツッコミたかったが、この姿で言っても無意味だって知ってるから言わない。
そんな調子で今年の夏休みの課題どーすんだよ、オメー…。
なんて思いながら開園した球場に向かう。


「さすが決勝戦だねぇ!すっごい人!」
「せやなぁ。スポーツ観戦は生だと燃えるけど、この試合で優勝決まると思うとやっぱり応援にも熱入るから地方から観に来る人も多いんちゃう?それよりあおいちゃんはどっちの応援するん?」
「あ、う、うん。あのね、両方とも全然関係ない学校の人だけど、」
「うん」
「港南の4番がすっごいイケメンで」


はぁ!?
港南の4番が「イケメン」!?
今そう言ったよな!?
園子ならまだしも、あおいがクロバ以外(それも認めたくないが)で「イケメン」て使うなんて…!


「…い、いやぁ!今年のメンバーは凄腕揃いでイケてるっておじさんが!!」
「俺んなこと言ったかぁ?」
「や、やだなぁ!昨日飲みながら言ってたの忘れちゃった!?さっすがおじさん!事件がなくても沖野ヨーコちゃんの出身校は調査済みなんてスゴイ!って思ったもん!!」
「…だよなぁ!あっはっはっはっはー!!ヨーコちゃーーん!この毛利小五郎も応援するからねぇ!!」


おい、オメー何言ってたんだ?
明らかに無理があるだろ、そのごまかし方…。
どんな奴だ、港南の4番…!


「はじまるね!」


何故か座る順番があおい、和葉、おじさん、俺、服部の順になった。
なんでオッチャンがセンターなんだ?
別にいーけど。
試合が始まり、マウンドを見る。
確かにサッカーならすっげぇ熱が入った応援するだろうけど。
それでも、こういう「真剣勝負」って奴はどんなスポーツでも見入ってしまうものだ。
久しぶりにボール蹴りてぇなぁ、とか、思ってる俺にオッチャンの腕がぶつかる。
見ると双眼鏡でそりゃーもう今にもヨダレでも垂らすんじゃないか?ってくらいの顔で見てるわけだ。
…スタンドで足上げて応援してるチアガールたちを。
俺はこういう男にだけはならない。


「せっかく来たんだからちゃんと試合観なよ、オジサン…」
「んなこと言ったってよー!ライトスタンドのこんな席じゃ試合なんてロクに観てらんねぇじゃねぇか!招待してくれるんだからもっと良い席かと思ったのによ!」


招待してもらっときながら文句言うなよ…。


「えろぉすんまへんなぁ!」


そう思った時、通路の方から声がした。


「こっちの知り合いに頼んで並んで取ってもらう予定やったんですけど、寝坊しはったみたいでぇ…」
「…大滝警部」
「大金と港南のOK対決は超人気みたいだから、朝早くから並んでないと内野席は取れなかったみたいだよ?」


こうやって席あるだけありがたいと思えよ、オッチャン…。


「ほれ!かち割りやかち割り!みんなの分もちゃーんと買ぉてきたで!」


大滝さんがそう言って夏の高校野球スタンド名物かち割りを配る。
…へー、初めて見るけど、ほんと氷だ。


「冷たーい!」
「ありがとうございます!」
「どーいたしまして!」


そう言いながら大滝警部は服部の隣に座った。


「でもいいんですか?大滝警部。仕事の方は?」
「かまへんて!どうせ休暇とって来てるんやろから。せやろ?」
「ああ!準々決勝から今日で3連チャンや!」
「甲子園お好きなんですね!」
「そらそうや!大滝はんはこれでも元高校球児やったんから!」


へぇ、大滝さんが高校球児、ねぇ。


「そんな大げさな…」
「ほぅ、そうだったんですか!」
「お恥ずかしい話で」


大滝さんはガタイいいからスポーツしてただろうなぁとは思ってたけど高校球児か。
むしろ柔道とかが似合う気がするのは気のせいか?
少し照れながら語る大滝さんの話を、冷たいかち割りを手に聞いていた。

.

prev next


bkm

×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -