キミのおこした奇跡side S


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孤島の姫と龍宮城


寄せてあげて盛りすぎ


「あの茶髪を後ろで1つにまとめてる姉ちゃんは?…チューブトップの青白ストライプってところやな」


こんな姿だったばっかりにあおいを痴漢の被害に合わせてしまったことは俺の中で悔いても悔やみきれないが、そんな夏祭りもなんとか終わり、あっと言う間に沖縄・甲子園ウィークになった。


「んー…わりとぽっちゃりだし、体型カバーしてくれそうなタンキニ?」


服部たちと合流した後沖縄(正確には本島から少し離れた小島)にやってきた。
んで、時間あるからってさっそくビーチに来たはいいが、この男の水着あてにつき合わされてるわけだ。
…俺のことムッツリとか言いながらオメーがそうなんじゃねーか!!
と、思いつつもつきあう俺も俺だ。


「ぶっぶー!俺の勝ちやな」


しかもコイツの水着あて百発百中なのはなんでだ?


「そろそろ和葉たち来よるな!今日の和葉、トラ縞の水着で決まりやで!」


あははー、と笑う服部に、後ろでサングラスかけてくつろいでるどっかの迷探偵がかぶって見えた。


「あおいちゃんは?」
「あん?」
「どんな水着やと思う?俺は黒ベースの水着ちゃうかぁて思うんやけど?」


にたにたしながら聞いてくる服部。
その顔ヤメロ。


「そうだなー…」


去年は(一応)受験だなんだで水着とは縁のない生活だったけど、ハワイの時は白ベースだったし…


「ピンクブラックのチェックのビキニ?」
「お、今までと違ぉてなんや具体的やな。見てきたんか?」
「んなんわけねーだろ!推理だ、推理!」



この間探偵団で杯戸ショッピングモールに行った時(あおいはすっかり保護者)そんな水着を見てたような気がするし。


「ふーん…。まぁそれもすぐわかるやろ!…ほんなら今度はあの茶髪でショートの姉ちゃんや!」
「んじゃー…茶髪がまだらで気合抜け気味だから地味な色のワンピ」
「いやいやいや!ちょーっとぽっちゃりしてるからなぁ…、体がしまって見える黒のビキニで決めてるで!……ほーら見てみぃ!まぁた俺の勝ちや!」


こんなんでも「負け」と言われると若干悔しい負けず嫌いの俺がいた。


「お前こういう推理はほんまイケてへんなぁ!」
「ほっとけ」
「何がイケてへんの?」
「「!?」」


その声にビクッと体を震わせ振り向くと


「か、和葉…」
「あおい姉ちゃん…」


仁王立ちの和葉の後ろに信じられない!という顔のあおいがいた。


「小学生相手に女の水着あてごっこやて!あんたんとこのおっちゃんやおばちゃんが聞いたら泣いて喜ぶやろなぁ、もう!」
「いやーちゃうちゃう!このガキがやろやろ言うてうるさいからしゃーなしにやな!」


ふざけんじゃねー!
俺のせいにすんじゃねーよっ!!


「平次兄ちゃんすっごいんだよ!今日の和葉、トラ縞の水着で決まりやで!ってぴったり当てたもん!」
「ア、アホゥ!それ言うたらお前かてそうやん!他はちーっともあたらへんのにあおいちゃんの水着だけ『ピンクブラックのチェックのビキニ』って当ててるやんけ!!」


ば、ばか!
オメーこそなんでそれを…!
チラッとあおいを見るとさっき以上に信じられないものを見るような目(いやいっそケダモノでも見るような部類の目)で俺を見ていた…。


「コナンくん」


ああ、やっぱりこんなくっだらねぇことにつきあうんじゃなかった…。


「コナンくんは小さいんだからそんなことしちゃダメ!!」


いやでも俺こう見えて中身は高校生なんだぜ?
世間一般の高校男児としてはわりと普通じゃねぇ?
しかもオメーの水着あてたってすごくねぇか?
てゆうかハワイの時より胸が強調されてるのは気のせいか?
気のせいじゃねぇよな?
2年の間の成長を差し引いたとしても、そんなに寄せて上げて何する気だ!
オメー俺がこんな姿の時にそんな水着着て他の男に絡まれたらどーすんだよ!
って叫びたかったが、そんなこと言ったらもっと大変なことになるのは目に見えてるから黙っていた。


「いっくら服部くんと暇つぶしにって、女の人の水着あてするなんて絶対ダメ!」
「…ごめんなさぁい、あおい姉ちゃん」


こうなったら猫かぶってでもこの場を切り抜けるしかねぇ!
俺は小学生、俺は小学生と自分に言い聞かせてなるべく「可愛く」見えるように謝った。
あおいはすっげぇなんか言いたそうだったけど、大きく1つため息を吐くことで俺に向けるハズの言葉を飲み込んだようだった。
…コイツがガキに甘くて助かった!
好きな女から他の女の水着あてしてたことに対する説教もゴメンだが、好きな女の水着「だけ」的中させたっていうあらぬ誤解を招きそうな説教もゴメンだ。
…まぁもっともコイツは「コナン」が服部につきあったと思ってるから関係ねぇっちゃ関係ねぇんだけどな。
そんなこと思っていたら、


「いよいよ明日ですね!名探偵東西対決!」


オッチャンへの取材が始まったようだ。


「自信?そんなものありゃしませんよ…。あるのはこの毛利小五郎がケツの青い大阪の若造に負けるわけがないという確信だけです!」


…後で服部に叩きのめされねぇことを祈るぜ、オッチャン。
今回俺は傍観者。
力は貸さねぇからな。



「おーい!スタッフー!そろそろ下見の準備してくれー!」


向こうで日売テレビの人の声がする。
俺は関係ねぇし?
あおいも来たしもう一泳ぎでもしてくるかなぁ。
でもそうなるとアイツ泳げねぇから…。
今の俺にはちょっとデケェけど、まぁいいかと、服部が持ってきたサメ浮き輪(いや「輪」じゃねぇけど)を借りた。
あ、やべ、タオル落ちた!
めんどくせぇなぁ…足でなんとか…よ、はっ、っと!
よし、取れた!
と思って顔を上げたところで服部と目が合い


「よっしゃ!俺らも下見につきおぉたろ!」
「お、おい!?」


いきなり服部に抱きかかえられた。


「なんだよ、下見って!」
「2人で知恵合わせて謎をあっという間に解いてしもて、大阪人が東京のモンよりエライっちゅーところをお茶の間のみんなに見てもらうんやないかい!」


俺、江戸っ子なんだけど…。
なんて意見がスイッチの入った服部に聞き入れられるはずもなく。
服に着替えて半ば強制的に推理対決の舞台の島に行くことになった。

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bkm

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