キミのおこした奇跡side S


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どっちの推理ショー


決着


「ああ、俺も最初はそう思たけど、この机の上の違和感に気ついたんや」
「違和感だとー?」


…ここで、俺の出番だな。
思い切りイスをテーブルに打ち付ける。


「おわっ!?」
「あれれー?おかしいなぁ?ちょっとぶつけただけなのに筆立てが倒れちゃったよ?だって犯人ともみ合って机に強くぶつかったからインクが零れちゃったんでしょ?どうしてその時筆立てが倒れなかったの?…これじゃあまるで、犯人がわざとインクを零したみたいだね?」


このヒントでオッチャンが、


「バーカ!犯人がんなことするかよ!」


バカはオメーだ!
このへっぽこ迷探偵がっ!!
それでもなんとか気づいたオッチャンと、それを引き継いだ服部が話しを進める。
で、ここでもう1つ証拠の品を、と。


「ねぇオジサン!社長さんの部屋で変なカレンダーを見つけたんだけど、オジサンなら何かわかるかな、って!」


つーかわかってもらわねぇと困んだけど。


「そのシミはカレンダーについた血を拭った跡やないか!」


服部はそのまま自分の辿り着いた「推理」を言い続ける。
…え!?
おいおい、オメーそれ以上はっ!


「カレンダーの上の方に肩の血がつくんは、」


バカ、ヤメロッ!


「背の高い波佐見さん!あんたしかおらんちゅーこっちゃ!」


…言っちゃったよ、この色黒…。
俺がなんのためにオッチャンにヒントを…。
いや、別に宝塚に行きたかったわけじゃねぇし、どっちかって言うと野球の方がおもしろそうだったからいいんだけどな。
でもだからって、それはねぇだろ?
オメー和葉に勝たせたかったんじゃねぇのかよ?
なんて、俺の思いを知ることもなく服部は事件を「解決」させてしまった。


「しかしよくわかったなぁ、このトリック!」
「小説のおかげや!おかんが買うて来た小説のタイトルがこのトリックを気づかせてくれたんや!」
「そりゃお母さんに感謝するんだな。お陰で推理勝負にも勝てたんだから」
「ああ!これでやっと甲子園に、あっ」
「おめでとう、平次」


…断言してもいいけど、コイツ和葉を負かしたことに気づいてなかったな…。
その後和葉の嫌味が炸裂。
それに対して服部は顔を青く(実際は黒くてよくわかんねーけど)した。


「…なぁ工藤、」
「あん?」
「俺どこで間違ぉたんやろ?」
「俺が知るかよ!」


うっかり勝ってしまい頭を抱え込む「西の高校生探偵」に冷ややかな視線を送る。
強いて言うなら推理対決にした最初の時点から間違ってたんだろーよ!
チラッとあおいを見ると、


「やだ、和葉ちゃんてば!」
「あおいちゃんかてそうやん!」


どこか顔を赤くして和葉と談笑していた。
…まぁ、あっちもあっちで甲子園で納得したみたいだし?
それならそれで良かっ


「でもさ、服部くんと工藤くんの推理対決だったら、どっちが勝ったのかな?」


何気ないあおいの一言。
俺と服部の推理勝負だぁ?
バーロォ、


「アホゥ!推理に勝ったも負けたも上も下もあらへん!あんのはたった1つの真実だけや!!」


え…?


「服部くんカッコいいこと言うね!」
「せやろ?せやろ?これメモっといてええで!」
「わかった!心のメモリアルに書いておく!」
「そうしてやー!ほんなら帰ろか?」


そう言っていつの間に和解したのかあおい、和葉と談笑しながら歩き出す服部(ちなみにオッチャンは現場でもう少し用があるんだとかで引き止められていた)
…おいコラ、待てそこの色黒!
それは俺の台詞だっ!!
何ちゃっかり俺の台詞パクッてしかもあおいからカッコいいとか


「コナンくんも帰ろー?」
「…はーい」


どうも釈然としないまま、数日後の甲子園行きが決まった。

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bkm

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