キミのおこした奇跡side S


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どっちの推理ショー


どっちの味方かなんて、


「じゃあこうしよう!推理勝負で勝った方のオススメの場所に行くってことで!」
「推理」
「勝負?」
「先月の末にある会社の事務所で殺人事件があってなぁ。妙な点があるらしくて、目暮警部にちょっと知恵を貸してくれって頼まれたんだ。その会社実はこの近所でな。食事が終わったらそこに向かおうと思っていたんだが。まぁ…、殺人事件を賭けのネタにしたくはねぇが、犯人は捕まってないらしいし、」
「事件を早ぉ解決させるためや思たら悪ないか…。ほんなら和葉、勝負といこか?」
「そんなんズルいわ!推理勝負で私が平次に勝てるわけないやんか!」


全くもってその通り。


「もちろん!和葉ちゃんの方にはこの眠りの小五郎が加勢することになるがな」
「ほんま!?ありがとー!オッチャン!!」
「いや何。眠りの小五郎は弱い者の味方でね…」


正確には弱い「女」の味方でね、が、正解だろーが、このスケベオヤジ!


「なぁ、あおいちゃんも手伝ぉてくれる?」
「うん!もちろん!じゃあコナ」
「ずっこいやっちゃなー!2人も味方につけよって!」
「べー!ふん!」
「まぁ、しゃーない。こっちはこのメガネのボウズで我慢しといたるわ!」
「反対っ!」
「「「「え?」」」」


あおいが何かを言いかけた時話を遮り、1番ズルいのは誰だよ?って発言をした服部。
その台詞を聞いたあおいがテーブルを叩きながら異を唱えた。


「コ、コナンくんはこっちの味方です!」
「なんでや?オッチャンがおるからええやん」
「おじさんだけじゃダメ!」
「ダメってどういうことだ、あおい。俺ぁこう見えても眠りの小五郎として」
「おじさんは黙ってて!と、とにかく!コナンくんはいっつもおじさんについて回って、おじさんのアシストしてくれてるんだよ!その2人を引き離すなんて!!」
「だーいじょうぶだって!こんなボウズいなくても俺がちょちょちょいと事件を解決してみんなで宝塚だ!」
「そうやであおいちゃん!私もあおいちゃんもいてるんやし、コナンくんは平次に譲ってやって」
「コナンくんは!?どっちの味方になるの!!?私!?服部くん!?どっち!!?」
「え、ええーっと、」


服部VS和葉のはずが、どこからそうなったのかあおいVS服部になったらしい。
…なんでだ?
テーブルに身を乗り出し迫るあおいの顔から視線を外した。
のが、間違いだった…。
今は円卓テーブルに座っていて。
俺の目の前(よりややズレてるが)にあおいは座っていて。
グイッと身を乗り出したことと、俺があおいの顔から目線を下げたことでモロにそこに目が行った。
今は真夏だし?
確かに今日は暑いし?
薄着でいても、胸元開いた服着ててもなんら不思議じゃねぇ。
それはわかる。
それはわかるんだが、でもだからってオメーはなんで胸だけ成長してんだよっ…!!
きっと「工藤新一」の体のままだったらあり得ない視点。
視線を落とした先、あおいの服の胸元に釘付けになった。


「ぼく」


バチン


俺が口を開きかけた時、服部がめがねごと俺の目を押さえつけやがった…!


「なんやあおいちゃん。俺に1人も味方寄越してくれへんのか?」
「だ、だって、服部くんは西の高校生探偵じゃん!味方なんていらな」
「それを言うたらオッチャンかてあの!眠りの小五郎やで?ボウズ1人おらんでもオッチャンやったら解決できると違うんか?」
「で、でも、」
「なぁ、オッチャン?俺に1人味方つけるくらいのハンデくれんのやろ?」
「あったり前じゃねーか!高校生相手にガキ1人くらい譲ってやらぁ!あおいも安心しろ!この眠りの小五郎、コナンがいなくとも事件解決なんて朝飯前だ!まぁ、今夕飯食ったばっかなんだけどなー!あははははー!」


オッチャンがくっだらねぇこと言った後でようやく俺の目から手が離れた。
正面のあおいは明らかに納得してません!ていう不貞腐れた顔をしていた。


「おいコラ工藤」
「あ?」
「お前今あの谷間に脳みそ持ってかれて俺を裏切ろうとしたやろ!?」
「べ、別にそんなんじゃ、」
「いいか、これは男の意地をかけた戦いや!裏切りは許さへんからな!!」


何が男の意地だ。
何が裏切りは許さんだ。
くっだらねぇことに巻き込むんじゃねーよ!
まぁ…、未解決事件の捜査だし、そこはキチッとするけど。


「おー!毛利くん!すまんなぁ、わざわざ」


そんなわけで俺+服部VSあおい、和葉、オッチャンの推理対決すべく現場に向かったら目暮警部と合流した。
要点をまとめるとこう。
殺害されたのは玩具製作会社の社長辻谷健二さん(53)
殺害場所は社長の自宅兼仕事場。
死亡推定時刻は先月29日日曜日午後5時頃。
発見されたのは翌30日月曜の午前10時頃。
発見者は職場前の店で一緒にモーニングを食べた後出社した社員4人。


「その4人が縄で縛られたまんまゴルフクラブで撲殺された社長を発見した、っちゅうわけやな?」
「なんでわかんの?平次」
「遺体の背中んとこにインクが零れてるやろ?たぶん犯人が社長ともみ合ぉてる時にインクが倒れて零れ、それに構わんと社長を縛りあげたんやろうけど、そん時にインクがついた縄の後が床のあっちこっちについてんで。社長が縛られたままもがいた証拠や」
「ほんならゴルフクラブで撲殺されたっちゅうんわ?」
「頭んとこしか血の跡ないし、頭の側に10センチくらいの細長い跡が何個もついとるやろ?ゴルフクラブのアイアンの跡や。倒れてる奴の頭を殴った時に何回か外れてついたもんやろな」
「…でもなんでわざわざ縛った後に殴ったのかなぁ?」
「きっと金庫の番号を聞いたんじゃない?ほら!あそこにある金庫の扉、開けっ放しになってるし!」
「なるほど?金目当ての外部犯、てわけか」


…とも、限らねぇけどな。


「ねぇ!他にもなんかあるんでしょう?おかしなことが!」
「え?」
「ほれ。出してみぃや!」


そう言われて目暮警部がソファに座りながら胸ポケットから何かを取り出した。

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bkm

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