キミのおこした奇跡side S


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どっちの推理ショー


友の優しさ…?


「キスしたーー!!!?」
「…オメー俺の鼓膜破る気か?」


京都に行った時、園子があおいを合コンに誘ってることを知った。
しかも京都から帰って来た後も「カラオケパーティー」と名を変えた合コンに誘っていたのを俺は知っている。
どうしたものかと思ったが、何かあるたびに合コンだ紹介だとあおいに男近づけられても困るから、腹括って園子に電話した。
で、合コン誘うのヤメロ→なんで?→なんでってオメーあおいと俺は、的な流れで冒頭に至る。


「は!?あんたたちつきあってんの!!?あおいからなんっにも!!聞いてないんだけどっ!!!」


わかっちゃいたけど、大興奮な園子の声を耳元で聞くのはすっげぇ…。


「つきあっちゃいねーけど?」
「は!?つきあってないって!?」
「だからー!…勢いでキスしちまったけど、その後逃げられ」
「あんたばっかじゃないのっ!!!!!!??」


俺の左耳の鼓膜の寿命は今日で終わるかもしれない…。


「あんたねー、何やってんのよ!!いきなりキスしたら逃げられて当然でしょ!!?しかも何!?今度はあんたが逃げてんじゃないっ!!」
「いや俺は逃げてるわけじゃ、」
「今どこいんのよ!?」
「えっ!?」
「今からうちのヘリで迎えに行くからそのままあおいにコクッてきな!!」


コイツなら本当に来そうで嫌だ…。


「あおいや蘭から聞いてねぇのかよ?」
「あー?なんか厄介な事件がどーとかって言ってたわね、うそ臭い!」


嘘くせぇってオメー…。


「あんたねぇ。事件事件ばっかり言ってるとほんとに逃げられちゃうわよ?だいたい合コン誘ったのだって男連中が『どうせなら芳賀さんも誘ってよ!』って言ってくるから声かけてんだし!『芳賀さんちっちゃくて可愛いじゃん!』とか言われてんのよ!?新一くんもあおいが好きならちゃんと」
「仕方ねーだろ!」
「…仕方ないって何が?」
「…この事件がカタつくまで出てくわけにはいかねぇんだよ!あおいはもちろん…、園子、オメーも巻き込むことになるかもしんねぇし」
「はっ!?」


仮に今、灰原が解毒薬を完成させたとして。
それを飲んで「工藤新一」に戻ったとしても黒の組織をどうにかしないことには、あおいをはじめ学校の連中にだって被害が及ばないとも限らない。
ならノコノコと出て行くわけには


「なに、あんたの言う厄介な事件てそんなヤバイことなの?」
「…」
「私はてっきりどっかの未亡人に気に入られて屋敷から出てこれないんだとばっかり…」


どういう妄想してんだよ…!


「とにかく!…俺は逃げてるわけじゃなくて、…会いに行くような状態じゃないだけだから」
「…うーん」
「わかったら2度と合コンなんかに誘うなよ?」
「はいはい」
「カラオケパーティーだ、ボーリング大会だなんて名前変えてもダメだからな?」
「…よく知ってるわね?それ誰情報?」
「えっ!?………俺は探偵だぜ?それくらいの情報知ってて当然だろ?」
「へーへー。ご高名な高校生探偵様ですもんねー!」


蘭と園子が口走ってた会話を「コナン」が聞いてただけなんだけどな…。
でも俺の言い分に園子は納得したようで、もうその手の集まりには誘わないと言った。


「ま、私が誘わなくなっても?他の男が積極的にやってきたらそこは知らないからね」
「わーってるよ!」
「せいぜいトンビに油揚げ持ってかれないよう、さっさとその厄介な事件とやらを解決することね!」


イヒヒと、笑って園子が電話を切った。
一言余計だっての!
…でもまぁ、とりあえずこれで園子からの妨害はクリア。
俺から電話あったってこと言うなって言っておいたから、この内容をあおいが知ることはないだろう。
でもほんっと早く組織の連中を叩き潰さねぇと…。
そんなこと考えながらケータイのメール画面を開く。
あれ?未送信メールが残って、


探偵左文字シリーズFile44下巻


今日の日付の後にそれだけ記されている文。
はっ!?発売今日だったっけ!?
やっべ、忘れてた!!
急いで本屋に行かねぇと!
売れきれてっかなぁ?
園子に電話してんじゃなかったぜ!
オッチャンたちがいるから家で出来ねぇし、俺が抜け出すって言ったらこんな時間じゃねぇと不自然だから博士の家行ったついでに外で電話してたんだけど。
なんて考えながら全速力で本屋に向かった。
ら、


「はい!探偵左文字シリーズFile44、悪魔が仕組んだ遺言状の下巻!」


店主から本を渡された。
これこれ!


「きっとボウヤが買いに来ると思って取っといてあげたんだよ」
「ほんとー?」


ラッキー!
さすが地域密着書店!!
俺もうずっとここで本買う!!


「ありがとねー、おじさん!!」


やった、やったぜ!
気になってたんだよなぁ、続き!
おし、夕飯をさっさと済ませて、寝る前に読破してやっか!
そして明日起きて2度読み!
これがまたたまんねぇんだよなー!


「ただいまー!」
「「「「おかーえりー!」」」」
「…えっ!!?」


今買ったばかりの本を片手に逸る気持ちを抑えきれず探偵事務所に帰ってきたら、見慣れない、いや、どちらかと言うと見慣れていてそして今日だけは見たくなかった「西の高校生探偵」の顔があった。

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bkm

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