キミのおこした奇跡side S


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迷宮の十字路


深まる謎


「あーーーーーー!!!」


闇を切り裂く悲鳴がこだまする。
すぐさま悲鳴の元に駆け出すとそこには、


「さ、桜はんがっ…!!!」


桜正造が殺害されていた…!


「鋭利な刃物で頚動脈を切られている」
「見事な切り口や…」


この切り口、一連の事件と同一犯の仕業か?


「君、どこかで見た顔や思たら、」
「高校生探偵の服部平次君か?」
「そうや。みんな警察が来るまでさっきの部屋におってくれへんか?」
「絶対に、外へは出ないように」


人払いをし、簡単な現場検証に入る。


「桜さんは納戸の中を物色している時に殺害されたようだが一体何を…?」
「上着のボタンが引きちぎられてるな」
「ああ。手袋脱いでボタン外すんが億劫やったんやろうけど、札がぎっしり詰まった財布は無事や。物取りの犯行やないな…」


ポケットに何か入って…鍵か?


「うわぁ!?」
「遺体に触るんじゃねー!!何度言ったらわかるんだっ!!」
「…いってーーーーーー!!!」


このオヤジ俺を投げ飛ばしやがったっ!!
後で覚えてろよ!!?


「…どう思う?外部犯だと思うか?」
「ゼロとは言えないが、表の引き戸は開けると音がして、女将が気づくはずだ。それよりも犯人は桜さんがなんらかの理由で納戸にいたことを知っていた者、つまり、」
「桜さんの知り合いの西条さん、竜円さん、水尾さんの可能性が高いっちゅーわけやな?」
「3人とも桜さんやあおいたちが出て行った後で1度ずつトイレに立っている。しかも、すぐ近くには地下への階段がある」
「3人ともトイレに行くフリをして納戸におった桜さんを殺すんは、可能やったっちゅーわけやな」
「ただ1つ気になるのは、水尾さんがトイレに行った時、千賀鈴さんがついて行ったことだ」
「ああ。舞妓さんはみなそうするみたいや。けど、竜円さんと西条さんの時は行かへんかったけどな」
「あれはオッチャンとゲームをしてたからだよ。逆に言えばその時を狙ってトイレに立ったのかもしれない」
「ちゅーことは、竜円さんか西条さんが犯人で水尾さんは白か」
「千賀鈴さんが共犯でなければな」
「…そやな。ほな行こか」
「え?」
「とぼけたらあかん。そのために桜さんの上着探ってたんやろ?」
「ああ、コレか。桜さんの店は確か寺町通りだったな?」


そして服部と2人桜さんの店に向かう。
…さっき怒られたばっかだけど、コレあおいにバレたら後々うるせぇよなきっと。
ま、しゃーねぇか。


「義経記…、伊勢三郎!?服部!」


桜さんの店を調べていたら、桜さんが源氏蛍のメンバーであること、そして例の絵のコピーを持っていたことがわかった。
ならあの手紙を山能寺に届けたのは桜さんてことになるが…、なんのために?
その後、山能寺に戻り、オッチャンにもこのことを報告した。


「ねぇ、桜さんの家にあったのがコピーだった、ってことは、本物は桜さんが持ち歩いてて、ソレを犯人が取っていったんじゃない?」
「なるほど!犯人は桜さんが絵をコピーしてたとは思わんかったんやな?」


後は犯人を絞らないことには…。


「でも凶器は店の中から見つからなかったみたいだよ?」
「みそぎ川は?地下の廊下奥のガラス窓から捨てたんじゃない?」
「でしょー!?私も、そう思ったのよ!!」


…マジで?
俺、園子と同じ見解?
なんか今一瞬にして探偵であることに対する不安や暗雲が立ち込めたぞ…。


「でもね、警察が川を捜索したけど何にも出てこなかったのよ」
「それやったら共犯者や!外に共犯者がおって川から凶器を拾たんや!」
「それはナイと思うよ」
「なんでや工ど、や、のうて、コ、コナンくん?」


いい加減慣れろよオメー…。


「今夜は満月で明るかったでしょう?あのベランダ床に隙間があって下が見えるようになってるし、もしみそぎ川に共犯者がいたとしたらあおい姉ちゃんたちが気づくはずだよ」
「そ、そうか…」
「真相はこうだ」


そしてココでオッチャンが推理を披露。
…でもなぁ、なんかしっくりこねぇんだよな。
とりあえず今日は遅いし、和葉が家に帰りますどすえって言うもんだから服部とはここで一旦別れることになった。
…なんだかんだで、ちゃーんと送って行くし?
もう初恋の彼女なんていいんじゃねーの?って思うんだけどなー。


「コーナーンーくーん?」
「え?」
「危ないこと、しちゃダメって前に言ったよね?」
「えっ!?べ、別に危ないことなんてしてないよ、僕!だいいちほら、平次兄ちゃんと一緒だったし、何にも危ないことなんて、」
「遺体から鍵抜き取って、殺害された人のお店に行くことのどこが危険じゃないって!?」


そういう解釈されるとそうなんだけどさー…。
その後もあおいの説教が続く…。
って思った時、


ピリリリリリリ


あおいのケータイが鳴った。


「…あれ?和葉ちゃんからだ。…もしも」
「#%&Q&!'$"」
「か、和葉ちゃん落ち着いて!!」


何喋ってんのかわかんねぇけど、とにかく電話口から慌ててるような声が漏れ聞こえた。


「深呼吸だよ、深呼吸!……だ、大丈夫?え?え!!?服部くんが救急車で運ばれたっ!?」


その言葉で部屋にいた俺はもちろん、蘭も園子もオッチャンもあおいを見た。


「うん…、うん。梅小路病院ね?わかった。うん、明日朝イチで行くね。うん、…和葉ちゃんもね。じゃあ明日」
「…平次兄ちゃんどうしたの!?」


あおいが電話を切るのを待って、問い詰めた。


「…バイクに乗ったお面を被った人に襲われて怪我して気絶したから救急車で病院に運んでもらった、って。今来ても寝てるし、いつ起きるかわかんないから、来るなら明日来て、って」


バイクに乗ったお面を被った奴だと!?
昼間のアイツか!!?
なんでだ?なんで服部が狙われる!?
アイツ犯人に繋がる何かを見たり聞いたりしたのか?
焦りにも近い気持ちを前に、夜が明けるのを待った。

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bkm

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