キミのおこした奇跡side S


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迷宮の十字路


立場逆転


そして捜査を再開した俺と服部。


「あれが、鞍馬寺の西門や」


やーっぱバイクあると移動便利だし、小回り利くし、俺も取ろうかなぁ…。
って、まず元の姿にもどんねぇとじゃねーか!
ほんっと、不便だぜ!
そして服部に促されるまま、義経と弁慶に縁のある場所に辿り着く。
鞍馬寺って結構山の中に入るんだな…。


「ここが、僧上ヶ谷不動堂。牛若丸はここで天狗と会うて、兵法を伝授されたそうや。ま、確かにここは剣の修行にはぴったりの場所やな」


確かに静かで剣に限らず修行には良さそうな場所だな。


「それにしてもこの杉でっかいなー!」


場所が良くても推理にゃ関係ねぇけどな。


「服部ー、ここも違」


視界の端に弓矢を構えた人間が見えた。


「伏せろーーー!!」


杉の木に弓矢が突き刺さる。
ニャロ


「待てーーー!!」
「お、おい工藤!!」


そのまま弓矢を射た人物の追跡に入る。
…身軽な奴だな!
くそっ!バイクで逃げやが


「工藤!」


振り返ると服部がメットを投げてきた。
投げられたメットを受け取り、被るとそのまま服部のバイクに引き上げられる。
逃がすんじゃねーぞ!!


「捕まえたでー!」


正面を見ると、俺の位置からも犯人の背中が見えた。
いいぞー…そのまま行けっ!
って、なんつー道走ってんだよ!!?
もっとマシな運転できねぇのか!!?
振り落とされそうになるのをなんとか堪え、追跡は続く。


「なんちゅーことすんねんっ!!」


つり橋まで来たら犯人が躊躇うことなくそのロープに手をかけたのが見えた。
……………コ、コイツ捜査現場にバイクで行くだけあって、運転能力ハンパねぇ!!
このまま犯人に近づければいいが…。
て、


「おい!ここ線路だぞ!?」
「気散るやろ!話かけんな!!」


はっはー。
道交法違反。
免停だな、こりゃ。
なんてことに気づいているのかいないのか。
そのまま線路での追跡劇が続くかと思った時。


「なんのつもりや!?」


視界を煙で塞がれる。
その直後進行方向から電車が来て、寸でのところで交わした。
が、バランスを崩したバイクは石を避けきれず転倒。
その間に犯人が乗ったバイクは走り去って行った。
…くそっ!!!


「やっぱり今の奴、源氏蛍のメンバー殺害した犯人やったんやろな?」
「たぶんな。だが、何故お前を狙ったのかがわからねぇ」


今日は腑に落ちないことばかりが続く。
そのまま鞍馬寺を後にし、山能寺に向かう。
辺りはすっかり暗くなっていた。


「あれ?服部くん!」
「なんでココに?」
「…街で偶然工ど、やのうて、このボウズと会うてな。一緒に絵の謎解こう思て」


コイツいつになったらすんなり俺を「コナン」て呼べんだよ!
オメーのせいでバレそうになんじゃねーかよ!!


「あ、」
「うん?」
「コナンくん、そこ血が出てる」
「え?」


あおいに言われて手を見たら指先に土とわずかだが血がついていた。
…ああ、さっきバイクから吹っ飛ばされた時のか。


「手、消毒して来よう?」
「え?」


グイグイっとあおいが血がついてない方の手を引いて俺たちが用意された部屋に入っていった。
その途中サッと水で手を洗い流し、住職から薬箱を借りた。


「別に消毒なんてしなくても」
「ダメ!ちゃんと消毒しなきゃでしょ!コナンくんすぐ傷作って帰って来るんだから!!」


コイツ実は心配性だったのか?
ってくらい、「コナン」の怪我に敏感になった気がする。
…まぁ大阪のあの事件があった後で仕方ねー気もするけど、って、


「あおいテメー、滲みんだろーがっ!!!」


オメーどんだけ消毒液使う気だ!?
ってくらいドバドバと消毒液を指先に垂らしてきた。


「…これくらいしないと、コナンくんまた怪我して帰ってくるでしょ!これは罰です!!」


あおいはキッ!と俺を睨んで後、絆創膏を貼った。
…まさかコイツから罰を受ける日が来るなんてなぁ。
早く「工藤新一」の姿に戻りてぇ…。


「ところで、オジサンは解けたの?」
「それがねー!」


蘭たちも部屋に入ってきて(服部がムカつくくらいニヤニヤしてやがった!)オッチャンの捜査進行状況を聞いたら、蘭がぶち切れてた。
…お茶屋ってオッチャン。
何しに京都に来たんだよ…。
いや、オッチャンのことだからむしろそっちが目的か?
怒り心頭の蘭を筆頭に、お茶屋に乗り込んで、そのまま夕飯をそこで取ることにした。
…なんつー贅沢な高校生だ。
いや、でも「鈴木財閥」のお嬢様がいるんだし、そうでもねーのか?
そんなこと考えながらお茶屋に向かった。

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bkm

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