キミのおこした奇跡side S


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迷宮の十字路


京都、謎解きの始まり


「やっぱり京都は私たち日本人のふるさとよねーー!!」


あっと言う間に京都旅行当日。
…なーにが日本人のふるさとだ!
オメーわかって言ってんのかよ?
ヘッ!て思いながらあおいの方を向くと、なんかもう、私どうしよう!ってくらいに期待に胸膨らんでます!って顔をしてた。
そーいや、蘭が舞妓体験ほんとにするって言ってたもんなぁ。
…わかりやすい奴。


「あおい姉ちゃんなんか嬉しそうだね」
「うん!ずーっとやってみたかった舞妓になるの!みんなで舞妓体験して京都の街並みを散策するんだよ!」
「良かったね!」


目きらっきらさせて話してくるあおい。
…ま、コイツが嬉しそうにしてんならいーや。
俺的にも舞妓姿見れるし。
なんて思っていたら、


「あおいとガキンチョいつの間に仲良くなったのよ?」


うるせぇツッコミが入った。


「あんたもしかしてそういう趣味?」
「は!?」
「おっかしーと思ったのよねぇ!この園子様の合コン蹴るなんて!」


ご、合コン!?


「あおい姉ちゃん合コン誘われたの!!?」


園子テメー何してやがんだよっ!!


「ガキのあんたにはまだ早い話よ!…結局どーだったのか報告もしないで姿くらますような奴に義理立てする必要もないし!こっちはこっちでパーッとやるってもんよ!」


報告?
報告って…


−戦況報告待ってるから!−


「あーーー!!」
「え!?コナンくんどうしたの!?」
「あ、い、いや、あ、あはははは…」


まさかあの時のこと言ってんじゃねぇだろーな!?
いや、確かにあの時はうっかり園子に乗せられてキスしちまったけど!(しかも舌つき)
いや、だからってあおいを合コンに誘うんじゃねぇよ!!


「おかしなガキねぇ。まぁいいわ、さっさとそのお寺に行って荷物置いて京都観光よ!」
「いいかー、特別に連れてきてやったんだから、仕事の邪魔すんじゃねーぞ!」
「「「はーい!」」」


くっそー…。
コイツ味方につけとかねぇと、後々めんどくせぇことになりそうだし…。
いやでも、オメーの策略にまんまと乗せられましたって言うのもなぁ…。
まぁ、何かしら考えて手打つしかねぇよな…。
そんなこと思いながら、京都観光がスタートした。


「んじゃまぁ、お前ら後ろな」
「はいはい。…コナンくんが小さいって言ってもやっぱり無理あるね。コナンくん、私の膝の上でいい?」
「え!?」


タクシーは普通のセダン型。
後部に女子高生3人も座れば、いくら今小さいとは言え小学生がもう1人座るのはきつい。
それに対して蘭が俺に膝の上に乗せるって提案してきた。
………いやいやいやいや、あおいの前でさすがにそれは


「わ、私!」
「うん?」
「私の膝の上は!?」


…………えっ!!!?
あおいの膝の上!?


「じゃあそうする?あおい小さい子好きだもんね!良かったねー、コナンくん!あおいお姉ちゃんが膝の上に乗せてくれるって!」
「え!?ち、ちょ、俺いや、あのっ」
「おら、さっさと乗らねぇとおいてくぞ!」
「はいはい!今乗るから!」


そう言ってさっさと蘭が乗り込んじまって、その後あおいが車に乗り込んで。


「どうぞ?」


って、少しだけ赤いような気がする顔して、俺の方を見ながら腿の上をパンパンて叩いた。
…これはもう選択肢がねぇんだ、うん。


「お、お邪魔します」


これは俺の意思じゃない、俺の意思じゃない。
落ち着け。
冷静になるんだ。


「あ、あおい。一応、落ちないようにお腹に手回してあげてね」
「あ、うん。こう?」


ぎゅっ、て音がするんじゃねぇかって勢いで、俺の腹に手を回したあおい。
せ、背中に胸がっ…!!!


「ぶはっ!ガキンチョのくせになーに顔赤くしてんのよっ!!」
「園子やめなよ、そういうこと言うの。コナンくんも男の子なんだから。ごめんね、コナンくん、すぐつくからあおいの膝の上でじっとしててね?」


いや、もうどうせならしばらくこのままでもいいのか?
ほら今俺は「小学1年生のコナンくん」なわけだし。
た、たまにはこういうのもアリなんじゃねーか?
そう、俺は今「高1の工藤新一」じゃなくて「小学1年生の江戸川コナン」なんだから。
小学生はこんなことで恥ずかしがったりする奴いねぇよな?
うん、いねぇはずだ。
だったら、たまにならこういうのもあり…な、はず。
………バレたらややこしいことになる気もしなくもねぇけど。


「お客さん、ここですね」
「ああ、どうも。ほら、お前らも降りろ!」


オッチャンのその一言で、ドアが開く。
い、一応礼は言うもの…だよな?


「あおい姉ちゃん、」
「うん?」
「ありがと…」
「…どーいたしまして!」


コレ今までだったら絶対逆だったはずだ!って思うんだが、あおいが俺の頭を撫でてきた。
正直ガキ扱いされるのは腑に落ちねぇ。
…けど。
まだ感触、…いや温もり?が、残る背中に自然と意識が向かう。
た、たまにはガキ扱いされんのも悪くねぇかなぁ、とか?
こういうこともまぁ必要だよな、とか。
…………俺だんだん「江戸川コナン」の生活にどっぷり浸かり始めてきたんじゃねぇか?
それはそれでマズイ気がするぞ。
しっかりしろ、俺。


「おー、毛利さん!遠いとこ、よぉおいでくださいました!私、お電話を差し上げた竜円です」


ちょうど入ってすぐのところに依頼主竜円と、この寺の住職の円海、そして檀家の桜正造、水尾春太郎、西条大河の3人がいた。
とりあえず出逢った人間の顔と名前覚えようとする癖って、もう職業病みてぇなもんだよな…。
…へー、この人たち剣道仲間なのか。


「このお寺には12年に1度開帳される秘仏があるそうですな?」
「はい、ご本尊の薬師如来様が」
「明々後日から一般公開ですよね!私たちそれも楽しみにしてきたんです!」
「それはそれは。薬師如来様も喜ばれはることでしょう」


…ん?
竜円さんのあの顔、なんだぁ?
俺が抱いた些細な疑問。
その謎はすぐ解決される。


「なんですって!?ご本尊が盗まれたーー!!?」
「はい。もう8年前のことになります。……向かって右が日光菩薩像で、向かって左が月光菩薩像です。けど、中央にいてはるはずの薬師如来様の像が賊に…。私はすぐに警察に通報しましょうと言うたんですが、住職に止められまして…。縁があったらまた戻ってくることがあるかもしれん、言われまして…」


縁がなかったらどーずんだよ…。


「8年の歳月が流れ、ほんの5日前、寺の郵便受けにコレが…」
「切手はなし。差出人の名前もなし、か。…この絵の謎を解けば、仏像の在り処がわかる…なんだ、この絵は!?」


…なるほど、だからオッチャンに依頼してきたのか。
竜円さんに頼んで、依頼文のコピーをとってもらった。
もちろんオッチャンの分と俺の分。


「なんなんだよ、一体…」


セミ、天狗、金魚、鶏、ドジョウ?
なんだ、何を意味するんだ?
真剣に暗号と向き合っていたら、


「ねぇ!仏像探しはプロに任せて、私たちは京都見物しようよ!」


園子が飽きたらしく、京都見物を提案してきた。
ああ、そうしてくれ。


「あー、そうしろそうしろ!お前達がいても邪魔なだけだ!」
「あ、あのね!実はね、和葉ちゃんていう大阪の友達に連絡して、京都を案内してもらうことになったんだ!」


へー、東京帰ってからも頻繁に連絡とってんのか…。
俺はまぁ、大阪後も服部と事件先で出くわしたもんだから、それにくっついてきた和葉と会ったけど。


「え?和葉ちゃん、て、服部くんの幼馴染の?」
「蘭知ってるの?」
「あ、うん。この間会ったから」
「そうなんだ。園子は?」
「私は蘭から話し聞いただけー。色黒探偵の幼馴染の子と会ったって!」
「そうなんだ…。でも服部くんは用事があって来れないって言ってたよ?」


ふーん、アイツはこねぇのか。


「コナンくんは?一緒に行く?」
「ぼ、僕はいいよ!近所の子たちと川に釣りに行く約束が…」
「あら、もうお友達が?でも気をつけるのよ?」


だーれが好き好んで女4人の中に行くかってんだ!
それにこの暗号も気になるし、な…。
山能寺から仏像を盗んだのは源氏蛍でまず間違いねぇ。
だが、誰がなんの目的でこの絵を届けたのか…。
そして、5件の殺しとどう関係があるんだ?
源氏蛍、か。
義経と弁慶って言ったら…。
頭の中で情報を整理し、これからの行動を決めた。

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